恐怖、うら若き女子に詰め寄る安産軍団「サクラクエスト」14話、定住人口を増やせるのか問題
アニメ「サクラクエスト」14話からは第二部スタート。
Amazonプライムビデオでは、テレビ放送とほぼ同時に配信されている。
●14話「国王の断罪」由乃、故郷へ帰る
20歳女子の木春由乃。限界集落寸前の田舎、間野山の観光協会に呼ばれて、よくわからない独立王国の王様することに。
13話で町総出のイベントを成功させたと思いきや、一過性のもので町の役に立てていなかったことに気づき、失意。実家に戻った彼女は、しょげたままだった。
しかし、田舎な地元のお祭りに参加した時、昔から変わらないだけじゃなく、以前より少しずつ盛り上がっていることに気づく。
友人たちが仕事に励んだり子どもを産んでいる様子を見ながら、「みなが戻ってこられる町」について考える。

公式HPより、二期のメインビジュアル
●進撃の安産軍団
観光協会5人をいろいろな角度から描いた回……なんだけど、「安産」Tシャツ集団が強烈すぎる。あんなん、ゾンビより生々しくて怖いよ! 薄い本かと思ったよ。
多分、民泊受け入れの外国人だろう。言葉がスペイン語orポルトガル語っぽいので、南米系かな?
以前映画撮影回で描かれていたように、間野山は「人が住めないわけではない廃屋」が多い。早苗も昔ながらの日本家屋を一件借りていた1人。
今回は「チュパカブラまんじゅう打ちの刑」など、コミカルな描写多め。
それが由乃の落ち込んだ気持ちをフォローしていて、全体のトーンが明るい。この作品は、ダウナーな空気は作らず、フラットさを保っていくようだ。
●由乃が住む海の町
由乃の実家は、港町・安住ヶ浦。かまぼこ工場があるらしい。
高校生の妹・汀は、そこで就職して、地元で結婚する、と由乃とは思考が全く別。
妹の存在は由乃にとって、かなりの刺激。
1つは「定住人口」の意味合いを由乃が考えるきっかけになったこと。
由乃の友達は、Iターン・Uターン・Vターン(田舎・都会・別の田舎)の施策を行っている。
妹のように「この町が好き」という人が増えることこそが、長期的に見てもっとも意味のある町おこしだ。
もう1つは「普通の幸せ」を汀が考えていること。
「特別」になりたい由乃。「国王」という普通じゃない仕事をし続けていた生活から、改めて実家で、汀の「普通の幸せ」を見ることで、思考がリセットされた。
●安住ヶ浦と間野山の開け方の違い
由乃「みんなが帰ってくる場所、集まれる場所、自慢したくなる場所」
安住ヶ浦の田舎度は、間野山とほぼ同じくらいの様子。
しかし、町の明るさが決定的に違う。
一番大きいのは若い女性の描写だ。
由乃や汀をはじめ、安住ヶ浦は若い男女が多い。
氷山の一角かもしれないが、これだけで活気があるように見える。由乃の母親も、外部から安住ヶ浦に来て、定住してきた1人。
間野山は、男は多いようだが、婚活パーティーの回での女日照りだったのを見る限り、若い女性が圧倒的に少ない。
デフォルメされているにしても、極端だ。
凛々子がしおりと民泊施設の話をしている時、「私だったら人に貸すのはイヤ」「女の子なら(許せる)」と話している。
彼女が人見知りな性格というだけでなく、見知らぬ男性や、言葉の通じない外国人との間で起きるトラブルへの不安は、どうしてもある。
ゲストも、ホストもだ。
性別で差をつけるのはどうか……とは正直思う。女性の不審者もいるだろうし。
けれども、町おこしを考える際ここが重要なのは、事実だろう。
女性や子どもが多い場所は、安心して過ごせる地域という証になる。
汀が言う、安住ヶ浦の小学校にエアコンが付いた話。
町がそれだけ教育機関へのお金をかけている、ということだ。
早苗が都会に戻った時に、子育て支援制度の話題もあがっていた。
子育てのしやすさは、定住人口を長期的に考える際の決定打の1つ。
2クール目は、町の話題作りだけではなく、もっと根本的な町づくりの話になりそう。
●凛々子の大変化
今回思いっきり成長したのは、凛々子。
祖母の千登勢に対して、自分の意思をはっきりと告げられるようになった。
また、安産軍団が来た時、しおりの前に立って彼女を守ろうとしている。
凛々子は観光協会5人組の中では、まだ明確な役割を担っていない。どちらかと言うと、資料係みたいな感じ。
そこからさらに一歩。意見を提示し、積極的に自分から動くようになっている。
由乃ががっかりした前回のイベント。凛々子にとっては、皆で協力しあって頑張ったもの、と自信になっている様子。
しおりと並んで間野山居住時間が長い彼女。大事なキーマンになりそう。
12日に「サクラクエスト外伝 織部凛々子の業務日報」の一巻が発売(電子書籍版は26日)。
「観光協会メンバーと関わることになった彼女の毎日は、なかなかに残念で……!?」とのことなので、かなり楽しみ。
凛々子は、5人の中で一番共感しやすいところが多い子だと思う。
『サクラクエスト』1話 就活失敗女子、限界集落寸前の町で疑問だらけの行動の末、国王になりました
『サクラクエスト』2話 最初の町おこし失敗、サイト作ったくらいでお客さん来たら苦労はしません
『サクラクエスト』3話 町の発展とか正直どうでもいい、住む権利はあるけど、盛り上げる義務はないでしょ
サクラクエスト』4話 由乃国王、サーバルちゃんみたいになる「すごーい!」
『サクラクエスト』5話 バカは立派な褒め言葉、サグラダファミリアみたいな建造物をつくりたい由乃国王
『サクラクエスト』6話 売れたかったら蝉を食え。女優って職業の人は……「変わった人間」なんだなぁー
『サクラクエスト』7話「そんなのふるさと捨てた由乃ちゃんだから言えるんだよ!」
『サクラクエスト』8話 年上キラーしおりちゃんの冷たい微笑みはまじサタン
『サクラクエスト』9話 田舎の人間関係の間合いを実感しつつ、水着で流されそうめん女子
『サクラクエスト』10話 オタク「コミュ障気味」女子、田舎の婚活ツアーが無理すぎてほとほと疲れ果てる
『サクラクエスト』11話「私のことなんか誰も認めてくれない」そんな引きこもりUMA女子ががんばった
『サクラクエスト』12話 田舎に人気ロックバンドを呼ぶとかやめてー! 大失敗フラグじゃないの?
『サクラクエスト』13話 待て待て、半年程度で観光客が毎日もりもりくるようになるとか、絶対ないから!
傑作の予感『サクラクエスト』2期へ。大成功しないリアルな歯がゆさの中、20代女子5人町おこし奮闘中