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『ユキトスミ』猫被った彼女の、自由すぎる書道。学園のマドンナの本当の顔は僕だけが知っている

16歳の天才書道家、橘雪乃。日本のみならず海外でも活躍する有名人だ。
そんな彼女が、高校に編入してきた。凛とした彼女は、瞬く間に学園のマドンナになった。
橘は、自分のことを全く気にしない少年・中村を捕まえ、助けるように言う。
彼女は見た目と違って、どうしようもないポンコツだった。

おにお『ユキトスミ』は、天才女子の裏表を描いた学園コメディ。
メインになるキャラは中村と橘の2人だけ。

勉強は全くできない。運動もてんでだめ。
欲深くて行動が雑。墨をこぼすほどおっちょこちょい。
自意識過剰でわがまま。それを隠して猫かぶり。
マドンナのイメージ保持のために、中村は呼ばれた。

彼女の裏表のある生き方に、書道というテーマが絡んでくる。
みんなが知っているのは、取り繕った姿で文字を書く橘さん。精神的にもまっすぐな人なのだろうと思われがち。
中村が見ているのは、自由奔放で元気いっぱい笑顔で文字を描く橘雪乃。型に全くはまらない表現者の姿だ。

彼女の書道の魅力は、ポンコツさ、わがままさを含めた「橘雪乃」を全てぶつけるところにある。
その書き方は、2人きりの時にしか見せない。
雪乃ははやく正直になった方がいいのは、わかる。
でももうしばらくは、閉じた2人の世界だからこそ生まれる芸術を、見てみたい。

同じ作者の『熊西美術部らふすけ先輩』は、『ユキトスミ』と同じ舞台の高校の美術部を描いた作品。
こちらも放課後毎日、モデルの呼ばれた女子の先輩と、それをガリガリ描く美術バカの男子の後輩が、2人きりですごす作品。
同じ2人きりでも、こちらは「身体を描く」ことに対する性的官能を含んだ、エロティックな作品だ。
身体を見つめられ、描かれる官能『熊西美術部らふすけ先輩』(アオシマ書店)
『熊西美術部 らふすけ先輩』(おにお)注がれる視線にリビドー持て余す彼女のフェティシズム(yomina-hare)