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根絶不可能か。全国侵攻中ヒアリ対策の切り札を『週刊文春』がレポート

神戸、大阪、名古屋に続いて、ついに東京でも発見されたヒアリ。南米原産のヒアリはアルカロイド系の毒を持ち、刺されるとやけどのような激しい痛みが生じる。体質によってはアナフィラキシーショックを起こし、死に至ることもあるという“殺人アリ”だ。ヒアリについて『週刊文春』7月13日号がレポート記事を掲載している。

人間が刺された場合の致死率は0.1%以下だというが、ヒアリが社会にもたらす被害は深刻。ヒアリは雑食で、農作物を食い荒らすほか、電気設備に入り込んで停電の要因にもなる。アメリカでは年間1400万人がヒアリに刺され、ヒアリによる年間の経済損失は5000億円に上ると言われている。

「一度定着したら、根絶は、ほぼ不可能です」と警鐘を鳴らすのは、九州大学決断科学センターの村上貴弘准教授。中国では04年に定着し、爆発的に増殖した。

ヒアリの特徴は繁殖力にある。コロニー(巣)に産卵能力を持つ女王アリが複数いて、1日平均1000~2000個ほど産卵を行う。公園や植え込みなど都市部の環境にも非常に適応しており、増殖しやすいのだ。そのため、駆除も容易ではない。殺虫剤をまいても、女王アリが複数いるので根絶することは難しい。かえって別の場所に散らしてしまう結果になることもある。

被害が大きいアメリカでは、ヒアリの天敵に関する研究が進んでいる。通称ゾンビバエと呼ばれるノミバエの一種だ。実際にゾンビバエを使ってヒアリを駆除する実験も行われている。ただし、膨大に増殖したヒアリを根絶できるほどの成果はあがっていないと言われている。

ヒアリの侵入を防げるかどうかは、すべて初期対応にかかっている。村上准教授によると、唯一根絶に成功したニュージーランドは、コロニーが発見されてから1キロ圏内を徹底的に調査し、3年間で1億2000万円の経費を投入して駆除を行った。日本も国家レベルでの対応が必要とされている。

さらに村上准教授はヒアリのもう一つの危険性を指摘している。詳しくは『週刊文春』7月13号にて。『週刊文春』はKindleでも発売中。