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鏡リュウジ『タロットの秘密』はタロット入門書の決定版で全部盛り

「タロットの入門書を選ぶのなら、これだ」と言える決定版がでた。
鏡リュウジの『タロットの秘密』(講談社現代新書)である。

いや、いままで、あんまりなかったのだ。
『思考ツールとしてのタロット』を出して、タロットをあれこれ使ってると、
「いい入門書は?」と聞かれることが増えた。
その人がタロットのどういう部分を知りたいのか、どういうタイプなのかを察知して、そのたびごとに、いろいろな本をオススメした。

占いをするだけならば、いい入門書がたくさんある。
たとえば、同じ鏡リュウジによる『はじめてのタロット』は
荒井良二がイラストをつけたタロット・カードつきで、
ステキな入門書だ。

ところが、ともかく入門書として「全部盛り」という本は、見当たらなかったのだ。
カードの解釈や、占いの手順だけではなく、
「タロットとは何か?」「タロットが占いに使われるようになった背景は?」「タロットの普及と、社会が与えた影響は?」
といったタロットの歴史や文化や思想について考える導入をはたす内容も必要だと欲張って、
しかも、高くなくて、入手しやすい本となると、「うーん、ないんだよねぇ、そういう本が……」と困っていた。

だが、もう困る必要はなくなった。
この本、『タロットの秘密』をオススメする。
全6章構成。
目次は以下。

序章 タロットの魅力
第1章 誕生の謎
第2章 神秘化したタロット
第3章 タロットの20世紀
第4章 心の世界と、タロットの図象学
第5章 実践・タロット占い

もちろんタロット占いができるガイドにもなっている。
第四章、第五章がそれだ。
第四章が、大アルカナ22枚の図像の読み解き。
それぞれのカードの解説も歴史的背景からユング心理学的な発想まで、ていねいで詳しい。
さらに小アルカナ56枚の解説もある。
名著だったが絶版になっていて入手困難だった『タロット こころの図像学』をベースにしたバージョンアップ版になっている。
第五章は、占いの方法。手順、カードの読み方が解説される。

タロットの本は高いものが多いが、これは新書なので929円。Kindle版は864円。
たっぷりの内容(325ページのボリューム)で、値段も安い。コストパフォーマンスも抜群だ。