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2017.06.27

無敵の女子小学生と元SPじいさんの悪人虐殺劇『CANDY & CIGARETTES』

『COPPELION』の井上智徳の新作『CANDY & CIGARETTSES』は、小学生の少女がバリバリ人を殺すクライムアクション。

元警視庁のSP・平賀雷蔵は定年退職をした老人。孫の難病を救うため月100万の稼がないといけない。
もう内臓を売るしか無いのか、というところで見つけたのが、SS機構という会社の超高額な仕事。
何がなんやらわからないまま初仕事に向かったところ、そこにいたのは、頭を撃ち抜かれた死体と、銃を持った少女・涼風美晴だった。
彼女の年齢は、11歳。

殺し屋稼業に取り組む、百発百中の女子小学生暗殺者と、肉体派老人SPのバディもの。
シチュエーションは、マチルダが戦う『レオン』だと考えるとわかりやすいと思う。
雷蔵がSP仕込みの素手格闘をこなし、それを美晴が一発で仕留める、という連携が気持ちいい。

少女殺し屋・美晴の頭のネジは数本飛んでいる。死んだ目で銃を対象に向け、躊躇なく撃つ。
雷蔵は倫理観はそこそこある。悪徳な人間はとことん追い詰めるが、無関係に巻き込まれた人が死にかけたら、真っ先に助けようとする。
この歯止めが、今後の美晴に大きく影響してきそうだ。

美晴はお金への執着が全くない。ものすごい数の人間を殺しているだけあって、有り余るほどのお金は持っているが、山のような万札はバスタブに突っ込んだまま全然手を付けていない。
彼女は、お金が必要な雷蔵に言う。
「お金があればもう働かなくて済むんでしょ? いいよ持ってって」
しかし雷蔵は、彼女が戦っているドロドロした日本の裏社会を見て、今後をすでに決めていた。
「ガキの分際で余計な心配はするな。もう覚悟は決めてるぜ。俺はお前の相棒だ、美晴」
雷蔵は、イキなセリフが多くてしびれる。
その後3万円だけ借りるのが、泥臭くてかわいい。

一巻は、美晴がなぜ殺しを続けているのかの、設定を見せるところまで。
二巻に出てくる標的が、「土壌汚染問題に関わる新都知事」。『アクメツ』的な社会派ネタバイオレンスになるんだろうか?
今のところ美晴が無双状態なので、標的キャラのバリエーションにも期待したい。

めちゃくちゃに強い女子殺し屋ものが好きなら『バイオレンスアクション』もオススメ。
ゆるふわ系の女の子が片っ端から依頼された相手を殺しまくる爽快アクション。あくまでも「依頼」なので、頼まれれば相手構わずすんなり殺す、飄々とした空気が楽しい。2巻は7月12日発売。