百合やBLや萌えをこじらせちゃってオタクトーク『百合好きくんと百合好き好きくん』
『百合好きくんと百合好き好きくん』が6月17日から電子書籍配信されている。
百合好きくんは、ありとあらゆる女の子同士のカップリングが大好きな百合オタク。アニメの百合も、現実の女の子のやり取りも大好き。理由は「美しいから」。一応彼女はほしいらしいけど、女の子2人を眺めている方が好きらしい。
彼のことが好きな、百合好き好きくん。百合のことは全然わからないし、興味もない。幼馴染の百合好きくんが楽しそうに百合の話をしているのが好きで、ずっと彼と一緒にいたいと思っている。
百合やBLや萌えへの情熱をこじらせた大学生男女の、コメディ群像劇。
たくさん出て来るキャラクターの関係は、価値観それぞれ対比になっている。
例えば百合好きくんと萌えオタくんと腐女子さん。
3人は仲良くなって、オタクトークを楽しむようになった。
しかし萌えオタくんは男女カプ、百合好きくんは百合カプ、腐女子さんはBLカプが好き。
同じアニメの話なのに、噛み合わず歯がゆい思いをする。
現実と妄想の線引の仕方も対称的だ。
腐女子さんは、百合好きくんと百合好き好きくんの2人を遠目に見て、BL妄想でニヤニヤする。
しかしそれは2人のことを「架空のキャラクター」と置き換えての話。眺めるだけで、干渉はしない。
百合好きくんは積極的に、仲が良さそうな現実の女の子を、できるだけ2人きりにしようと行動する。
彼は介入して女子二人の場所を作ることで、満足しているフシがある。
二次元と現実は違う。ただ、会話だと「どこまでが二次元のネタなのか」が曖昧になってしまい、齟齬が生じがち。
それもあってか、百合好きくんは、百合好き好きくんの気持ちにも全然気づけない。周りにはバレバレなのだが。
「百合の話できんのお前しかいねーんだから!」とあっけらかんと言う百合好きくん。
百合好き好きくんは、目をそらし、自分の気持ちをグッとこらえる。