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アイドルのプライベートと幻想のバランスは難しい『推しが武道館いってくれたら死ぬ』3

先週土曜日にAKB総選挙があった。
発売されたばかりのマンガ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』の3巻でも、アイドルメンバー内人気投票の結果が発表された。メンバー7人の中でのローカルなものだが、ファンにとっては一大イベントだ。

岡山のローカルアイドル「Cham Jam」での人気投票期間中に、メンバー人気二位の空音が「男といた」と、ネットで話題が立った。
完全なデマだ。だがファンの心は離れてしまい、順位は転落。

メンバー内でもギクシャクしてしまう。空音はメンバーに言う。
「わたしのこと嫌いでもいいけど、わたしたちは見られてるんだから、仲良く見せなきゃいけないことだけ分かって」
人気投票後、空音にイライラをぶつけていたメンバーの1人あや。デマで落ち込んでいたのに、満面の笑みで自分とステージでトークする彼女を見て、冷や汗をかく。
「空音、プロだ…!」

チーム内人気最下位・舞菜推しの女性、えりぴよ。人生の全てをつぎ込んで推しの応援を楽しんでいる過激なファン。
でもやはり、空音の件の事実を知っていても、舞菜を心からアイドルとして愛していても、ふと言ってしまう。
「わたしはさ、楽しいことは全部舞菜に言いたいし、嬉しいことがあったら一番に伝えたいと思うけど、舞菜にもそういう存在がさあ、いるのかなあ」

実は舞菜は、えりぴよのことを1人の人間として、好きでしかたない。
自分の感情を制御しきれず、えりぴよとの握手の際何を言えばいいかわからなくなり、いつも塩対応になってしまう。

3巻では、舞菜がバイトしていたメイドカフェに、偶然えりぴよが訪れるシーンがある。2人とも硬直。
舞菜はすっかり恋する乙女の顔。今はアイドルとファンの状態ではないのに、うまく話せない。
えりぴよも、ファンとしての呪縛から抜けられず、喜ぶことを拒絶する。
「お金出してないのに舞菜と会話なんかできないよー!」

お互いファンとアイドルのロールプレイをしているがゆえに、すれ違い続けるのが、面白くも切ない。
えりぴよ「だってほら、舞菜は生きてることが、わたしへのファンサだから」

無償の愛を注いだり、男の影に怯えたり、心が折れたり、それでも姿を見たら元気になったり。
繊細なファンの前で「Cham Jam」のメンバーは、全員に楽しい夢を見てもらえるよう、ステージ上では偶像を演じ続ける。

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