「情熱大陸」「クレイジージャーニー」登場の『洞窟ばか』吉田勝次は何故そこまで潜るのか
11日の「情熱大陸」に、洞窟探検家の吉田勝次が出演した。
初期「クレイジージャーニー」出演者でもある。洞窟というか動物の巣穴みたいな所に頭をねじこみ、潜り込んでいく姿が強烈だった。
吉田は会う人みんなに同じことを聞かれる。
「洞窟って何が楽しいんですか?」
楽しくない。むしろつらい。危ない。怖い。狭い。
首まで泥水に浸かって進んだり、落石で肩を骨折したまま30時間ロープを登ったこともある。
それでもやめられないのは「洞窟病」に感染したせいだ。
洞窟病とは何なのか、
「洞窟ばか」に書いている。
少年時代の吉田は、ケンカに明け暮れる悪ガキだった。
高校は半年で中退。胸のモヤモヤを肉体労働にぶつけた。
解体したい家があるけど、道が細くて重機が入れない。なら俺行くわ、とひとりで家一軒ぶっ潰して帰ってくる。バブルで仕事はいくらでもあった。だけど、いくら稼いでも満たされない。
むなしさを埋めるために、登山やスキューバを体験したが、何か違う。
きれいな景色はいいものだが、他人のやったこと、見たものをなぞっているだけだ。
その後所属したケイビングクラブの、岩手・安家洞(あっかどう)探検で人生が決まる。
洞窟の奥が、唐突に行き止まりになっている。空洞だった場所に、雨で土砂が運ばれてきたに違いない。
ここを掘れば、奥の空間に出れるかもしれない。
工事現場で鍛えた経験と体力で、三日三晩掘り進んだ。仲間たちが諦めてからも、頼み込んでいっしょに土砂を掻き出した。
ふわっと顔に風が当たる。
空間だ。その向こうで鍾乳石が輝いている。「これだ!これだ!これだ!」
人跡未踏の地だ!吉田の声に、何事かと仲間が集まってくる。
安家洞は日本最長13キロの洞窟だが、最後の5キロは吉田が付け足した。
番組内で口にした
「人類初を経験すると 洞窟やめられないんだわ」の言葉。
当時でもそうだったろうが、ネットが便利になった現在のほうが「未知」の魅力が増してくる。
それ以降、吉田の生活は洞窟中心になり、貯金は全て遠征費や装備に費やすようになってしまった。
恐るべき洞窟病の症状である。