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まだまだ終わらないフレンズたちの無垢な楽園『けものフレンズ こみっくあんそろじー じゃぱりまん編』

放送が終了してから、『けものフレンズ』関連書籍が続々と登場している。
『けものフレンズ こみっくあんそろじー じゃぱりまん編』は、幸せなジャパリパークにスポットをあてたアンソロジーコミックだ。

公式アンソロとしては三冊目。
表紙は『ゆるゆり』のなもり。アライさん・フェネック、かばんちゃん・サーバルちゃん、ビーバー・プレーリーさんと、人気カップリングをおさえているあたり、さすがわかってるぅ。

『けものフレンズ』の世界は、無垢で無知だ。人間の文明について、何も知らない。動物だから。
料理を知らない。布団を知らない。通貨を知らない。争いを知らない。

普段は「じゃぱりまん」と呼ばれる、生態にあわせた食べ物がパーク内で供給されているので、弱肉強食が発生しない。
極めてトゲのない、平和な世界だ(もっともアニメ本編では、裏になにか設定がありそうだが)。

すまちー「お茶会フレンズ」では、ミミズクの博士と助手が、火を扱えて文字が読めるヒトのフレンズであるかばんちゃんに、おやつを作るよう要請する。ジャムもバターもパンケーキも知らないフレンズたち。みんなが初めて体験するおやつは、事件だ。

川上真樹「紙飛行機フレンズ」は、かばんちゃんが一話で作った紙飛行機がテーマ。サーバルは最終回で彼女を救うために、紙飛行機を使っていたのが印象的。かばんちゃんの作った紙飛行機は、サーバルちゃんじゃないと感じられない風に乗せて天高く飛ばす。「よくわからないけどやっぱり、かばんちゃんはすごーい!!」

幼子のように、何も知らないがゆえにかわいらしいフレンズたち。
しかし彼女たちがどんどん知識を手に入れても、きっとこのバランスは壊れないはずだ。
多くのフレンズが相手を尊重する気持ちを持ったやさしい世界を、アンソロジー作家ほぼ全員が描いている。


他のアンソロジーもあたたかい話が多く、疲れた身体によく効く。ちょっとセンチメンタルな作品もあります。