ガン患者の家族にどう接すればいいのか『今日から第二の患者さん』ツラさに一番も二番もない
エッセイ漫画『今日から第二の患者さん がん患者家族のお役立ちマニュアル』が配信開始している。
結婚予定だった男性が、大腸がんだと判明した。
作者は「笑ってもらおう」「支えよう」と必死に気丈になっていた。
しかし周りから飛んでくるアドバイスに過敏になり、心は荒れていく。
人に病気の話をするのが怖くなる。男性は病気への恐怖とストレスでパンクし始める。入院が続くほどにもりもりお金が飛んでいく。
すっかり心が疲弊した彼女、自分が「第二の患者」と呼ばれる、家族が患者本人と同じような感情や苦しみを抱いてしまう状態になっていることを知る。
作者の悩みの1つは「一番つらいのは患者なのに、自分が苦しんでいるなんて身勝手」と自己嫌悪に襲われることだ。
周囲からも「あなたがしっかりしないと」と言われ、弱音が吐けなくなってしまう。
その時、妹は「え? ツラさに一番とか二番とかあるの?」と言った。
なかなかこういう悩みは、患者本人には言えないし、周囲も理解しづらい。自分が頑張ればいいんだ、と思いがち。
そもそも周囲の人はみんな親切で言っているから、無碍に出来ない。それが、うつのトリガーになっていく。
この作品をある出版社に持ち込んだ際の編集者の対応を聞いて、作者はこの漫画を絶対描こうと決意したという。
「ウチは青年誌でほぼ男性読者だし年齢層も若いから、みんな興味ないだろうし…病人本人なら大変なのもわかるけど…ねぇ? それに奥さんが看病するなんて当たり前じゃないですか…?」
そういう思い込みは、まだまだ世間にあふれている。
苦しみを表に出せない、病人の看護をする家族の悩みをぶちまけたエッセイ。
今悩んでいる人はもちろん、病人の家族に接するマニュアルとして、いざ自分たちが患者の家族になった時の備えとして、読んでおいて損のない本だ。