ラノベ業界なめすぎニート姉と小卒妹の作家デビュー(努力しないで売れたい)奮闘記『ライト姉妹』
『ライト姉妹 ヒキコモリの妹を小卒で小説家にする姉と無職の姉に小卒で小説家にされるヒキコモリの妹』の配信が始まっている。
作者は、ネガティブ喪女高校生が一人悶絶するコメディ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い』の谷川ニコ。
タイトルがめちゃくちゃ長いのは、昨今のラノベのパロディなんじゃないかな。
ニートの姉・希美は、小卒で引きこもりの妹・奏愛のPCの中に、彼女が書いた小説を見つける。
これが意外にもうまく、感動した姉は奏愛を小説家に育て上げようと決意。
ところがそれは、ただのパクリだった。姉は、ラノベについて調べながら、厳しく妹の指導をはじめる。
姉「きっとラノベ作家はダメな人間たちの憧れの職業なのよ。だからダメ人間でもクズでもゴミでも目指していいのよ、なれるかなれないか置いといて」
ひどい。
姉妹ともに小説に対して、なめくさった発言の連発。
これは小説家としての成長物語というより、堕落した姉妹の自意識過剰な「クズかわいさ」を楽しむギャグ漫画だ。
1巻では「小説家になろう」をモデルにしたサイトへの投稿の話がメイン。
「なろう」は自由に小説を投稿できるサイトで、ここでの人気作品は昨今数多く書籍化されている。
……と書くと賞に応募するより楽そうだが、現実はそう甘くない。
奏愛がはじめて書いた小説は、ネット民に激しくこき下ろされ、彼女は過呼吸で倒れてしまう。
ビッグマウスをたたいては、やらかして大失敗する2人が面白い。
同時に、上から目線のアニメ批評ごっこなど、自分にも心当たりがある会話がグサグサささってくる。
創作活動の反面教師的作品だ。
「ラノベ文化」を題材にした作品は、1つのジャンルになりはじめている。「文芸」ではないのがポイント。
アニメ化された『エロマンガ先生』は、主人公がそこそこ売れているラノベ作家で、妹は超売れっ子イラストレーター、出会うキャラは日本トップクラスのラノベ作家……と、ラノベ業界の売上をまるで部活動のようにカジュアルに描くラブコメディ。
『金のタマゴ』は、ラノベ編集がいかに売れる作品を見つけていくかを描いた、かなり具体的なお仕事物語。実数値なども出しながら、売れる方法論を探っているので、とても参考になる。
『ななかさんの印税生活入門』は、漫画家の両親よりも印税収入を稼ぐべく奮闘する中学生少女のギャグ漫画。ラノベの物語構成の分析がテーマで、ちょっとしたラノベ批評になっている。
女子中学生、ラノベで大ヒットを狙う『ななかさんの印税生活』のラノベ批評 アオシマ書店
『ときめきラノベ地獄』は、ラノベ研究会を舞台に、実際に売れているラノベを解析していくギャグ漫画。あるあるだけでなく、独特なラノベ文化圏全体の空気感を捉えた作品。ラノベ作家との対談も載っている。