女子の萌えが暴かれた『キスの先までサクサク書ける!乙女系ノベル創作講座』
『キスの先までサクサク書ける! 乙女系ノベル創作講座』は、KADOKAWA・ジュエル文庫編集部による、乙女系ノベルを書くためのハウツー本だ。
乙女系ノベルとは「Hなシーンも入った女性向けの恋愛小説」で、ヒロインとヒーローの結婚を書いているのが大きな特徴。
ストーリーの作り方のほか、小説を書くためのパソコン環境まで紹介されており、初歩的で丁寧なつくりになっている。
乙女系ノベルでは「イケメン」がアピールポイントではなく前提だ
読者の分身として物語世界に入るのがヒロイン
読者がどんな視点で萌えているのかを細かく分析し、乙女系ノベルの構成に落とし込んでいく。
「あなた、こういうキャラやシチュエーションが好きですよね?」と暴かれるみたいで、ドキドキしてくる!
たとえば、物語の舞台を設定する方法について。
乙女系ノベルの舞台は、
19世紀イギリス・漢や唐といった古代中国・平安時代が定番である。
共通点は、「華やかさ」「おなじみ性」、そして「平和さ」だ。
平和さとは、「2人は幸せに仲良く暮らしました」がイメージできるかということ。
読後の幸せ感もきちんと考えられていて、おもてなしが行き届いている。
作品の要である、ヒーローのキャラ要素は
財力・権力・家柄・肉体的な強さ、という4つが大事。
乙女系ノベルのヒロインは、誘拐されたり危険な目に遭ったりしやすい。
腕っぷしも強くないと、ヒーローにはなれないのだ。
スパダリ要素に強さも求められているあたり、「イケメンだけじゃイヤ」という女子の本音がうかがえる。
そして「乙女系ノベルの華」である、Hシーンについても真面目でアツい。
1作品あたり4回ほどのHシーンがあり、
それぞれがストーリー展開において重要な役割を担っている。
手持ちの乙女系ノベルを読み返してみると、たしかにHの意味合いが違っているのに気づいた。
Hシーンは全体ページの3分の1くらいを目安としているが、
読者からの感想をまとめると
「体感的には実際の割合から5割増しくらいに感じている」そうだ。
うまく表現するのが難しい”萌え”という感情が、細かく言葉にされている。
読者のことを考え、念入りに作られている乙女系ノベル。現在は、いろいろな出版社から10レーベル以上が誕生している。