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踏切の待ち時間は気まずい「踏切時間」はそこから一切変わらないコメディ

一話の中で舞台が一切変わらない、踏切の待ち時間コメディ、里好『踏切時間』の二巻が5月12日に発売された。


 踏切で待つ時間は、大変気まずい。というのも大体同じ時間に通勤・通学するとなると、横に並んでいる知らん人と頻繁に顔をあわせるハメになる。逆に知人と学校に行く時は、踏切の待ち時間もちょっとした楽しい会話タイムだ。

 ある寡黙な優等生の女子生徒。先生と同じ時間を狙って、踏切の前で並ぶのを楽しみにしている。先生が超生真面目でシャイなため、「知っている生徒と同じところで長時間待っている」状態だと挙動不審になるのが面白いからだ。

 兄と妹は、いっしょに登下校しておしゃべりしているのが恥ずかしくて、2人踏切の前でLINE的なもので会話している。一言もしゃべっていないのに、スマホだと饒舌になる2人。ところが兄の友人が話しかけてきて、妹は微妙な気持ちになり……。

 ゴス服の女性は、実家に呼ばれて下町の踏切を渡るべく待っている……のだが開かない。そこをカラスに襲われてぎっくり腰に。地元でゴス服でぎっくり腰な様子は、電車から丸見え。動けない彼女の元にはカラスが再度襲撃、近所の子どもたちが面白がって絡んでくる。やめて!

 作中に出て来る踏切は、実在にあるものをモデルにしている。
 セリフは少なめ。一方モノローグはめちゃくちゃ多い。
 踏切の前で、人はくだらないことから真剣なことまで、思索し、口を開かず葛藤している。