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屈指の名エピソード「花火」編収録『かぐや様は告らせたい』5巻で白銀会長が男を見せる

「恋愛は告白した方が負けなのである!」 秀才が集う秀知院学園の副会長・四宮かぐやと会長・白銀御行。お互い惹かれているけども、プライドの高さゆえに自分からは告白できず、高度な知能戦が繰り広げられる『かぐや様は告らせたい』。5巻は『週刊ヤングジャンプ』掲載時に大きな話題となった、夏休み花火編が収録されてます。

夏休みといえば男女でキャッキャウフフのデート三昧……なんてことはなく、かぐやを遊びにも誘えずにつまらない毎日を送っていた御行が、自宅で干物化しています。「四宮、今頃何してんのかなぁ」

干物になっていました。でも自分から誘うなんて「それじゃまるで私が会長と遊びたいみたいじゃない!!」100パーその通りなんですけど。まだお認めになりませんか、お嬢様。前に会長から送られてきたメールを眺めては憂う表情、一挙手一投足がひたすらに可愛い。「片想いする女子は愛くるしい」を全力で投げこむスタイル、ますます健在です。
何の用事もないのに生徒会室に向かう二人。もしかしたら会えるかも……しかし、会えずじまい。この切ない演出に一話まるまる使ってます。

かと思えばギャグ回。かぐやが会長の呟きを見るためにツイッターを始めるんですけど、ITオンチのかぐやの焦りっぷりたるや。登録の時の認証画面がよくわからない、鍵アカウントが見られない。その都度、

「インターネットが壊れたの!!」

「アク禁にされちゃったの!」

入浴中のメイド・早坂愛を呼び出します。お目々を><にして、お年寄り並のパソコン知識で奮闘するかぐやがダメ可愛い。あれ? タイトルの「天才たちの恋愛頭脳戦」とはいったい……。

箱入りのお嬢様である四宮かぐやはずっと孤独でした。家族の愛情を知らずに育ったかぐやが高校になってはじめてできた友人、後輩、そして想い人のいる生徒会。彼らと行く花火大会の約束も、ボディガードに厳重に止められて禁止されてしまいました。「大丈夫」と言いつつ崩れ落ちそうなかぐや様が、たった一言だけ書き込んだツイッターの

「みんなと花火が見たい」

それをスマホで確認した白銀会長がただ一言、「了解」と告げる。さっきの大笑いしたツイッター回も伏線だったんですね。早坂の協力を得て屋敷を脱出したものの、花火大会には間に合いませんでした。ひたすら泣き続ける四宮かぐや。

「私も見たかった……花火……皆と」

「だったら俺が見せてやる」

かぐやの居場所を見つけた白銀会長。千花たちと合流して、いざ生徒会メンバーが木更津の花火大会までまっしぐら。かぐやを見つけたことも、木更津でまだ花火大会がやっていることも、偶然ではありません。白銀会長が夏休み中ずっと、かぐやとのデートを想定して、すべてのイベントとマップが頭に叩き込んであったからこそ。諦めず、努力して、かぐやのために全力を尽くす白銀御行の熱血主人公っぷり。男も惚れるカッコよさに鳥肌もんです。
ラストの1シーンが、45話の見出し「花火の音は聞こえない」にかかってくるのもニクい演出。前々回にやっていた千花のラーメンファイター回。そこにちらっと出てきた高円寺のJ鈴木さんが、このタクシードライバーだったりします。すべてが綺麗に繋がる名エピソードに拍手喝采。

新学期、格好つけすぎた自分にこっ恥ずかしくなって悶える白銀会長という後日談。いやいや会長、ナイスファイトですって!  そう声をかけてあげたい。かぐやたちと一足早い夏を体験できて、心地よい読後感に包まれてます。