外では優等生、家ではグータラな妹・土間 埋（どま うまる）がお兄ちゃん・土間 大平（どま たいへい）を困らせる日常の日々。アニメにもなった大人気ギャグマンガ「干物妹！　うまるちゃん」のスピンオフが登場。作者は別の方（ヒジキ氏）なのですが、うまる愛に溢れた珠玉の傑作なので紹介します。

「干物妹！　うまるちゃん」の面白さは、味付けの濃いキャラクターたちです。外では八頭身、家では二等身。コーラとポテチの食べ方に異様なこだわりがあるグータラな干物妹うまる。内気だけど大食いでおっぱい大きい海老名菜々。強面でキョドって怪しいけど、実は可愛いものが大好きな本場切絵など。普段の生活から離れて、「もしもうまる達が○○だったら」という大喜利みたいな構成になっています。

お題「変身ヒロイン」では、うまる社長のもと、大人気特撮「プリキュラ」が放映されていたという体。魔法少女の菜々や切絵たちに混ざって、大平に片想いしている上司の金剛叶も、2（ピー）歳で「アラサー魔法少女」を演じてます。無理してる感じがむしろ興奮……もとい応援したくなるんですけど、本人ガチギレです。

「デリケートなアラサー女子をあんな扱いするなんて！」

敵に寝返って女幹部となって闇堕ちしちゃいました。すると今度は悪の幹部・大平が浄化されてプリキュラ側についてしまい、孤独な敵幹部になるというオチ。『うまるちゃん』本編でも大平との仲が進展しない叶の不幸っぷりを、特撮ネタで上手に料理してるんです。

切絵が幼稚園の保母さんになって、幼児のうまるや菜々たちのお世話をするif。叶や切絵、菜々、シルフィン、ヒカリが貧乏姉妹で、うまるプロデューサーのもとでサーカスをやるif。様々な角度から、うまるファミリーの魅力を引き出しています。作者は月刊コミックアライブで「あやかしこ」連載中のヒジキ。「干物妹！　うまるちゃん」へのキャラ愛がなせるワザでここまで面白くなりました。

「干物妹！　うまるちゃん」の魅力である「うまる〜〜ん」など、独自の擬音も詰まってます。シルフィンにつく擬音だけでも「ショボフィーン」「シュバペコリ」「シュバプイッ」など本家同様に使いこなしているのがグッド。アニメしか見てないって人でもハマる逸品に仕上がっています。

同コンセプトの「ひもうと! うまるちゃんS 1 」は本編の作者・サンカクヘッドが描かれてます。最新刊10巻も『SS1』と同時刊行で、海老名菜々がヒロインの『秋田妹！えびなちゃん』もWeb連載中。ますます広がっていく「うまる」ワールドにこれからも目が離せません。