• トップ
  • 新刊情報
  • 大人気ドラマ「やすらぎの郷」脚本家が「週刊文春」で語った「秀さんのモデルは高倉健」

大人気ドラマ「やすらぎの郷」脚本家が「週刊文春」で語った「秀さんのモデルは高倉健」

相変わらず絶好調のシルバードラマ『やすらぎの郷』。“人生100年時代”に突入した老人ブームの最先端を突っ走る作品だ。

第6週から登場したメインキャストの1人、藤竜也演じる「秀さん」こと高井秀次について、脚本家の倉本聰が今週発売の『週刊文春』5月25日号で語っている。

ドラマの舞台になっているテレビ人専用の老人ホーム「やすらぎの郷」に新たに入居することになった高井秀次。主人公・菊村栄(石坂浩二)はナレーションで彼のことをこう伝える。

「秀さんと言えば、男も惚れる伝説のスター。あくまで無口で孤高を貫き、撮影のとき以外は姿を隠して、一人黙々と絵を描いている」

絵を描く云々はフィクションだが、前半部分を読めば「秀さん」のモデルが「健さん」こと伝説の大スター・高倉健だということは誰でもわかる。倉本聰自身もそのことを認めている。

「秀さんのモデルは、高倉健さんなんですよ。実際の健さんはとにかく無口な方で、話していると五分とか十分ぐらい間ができることがよくある。あまり黙り込むので、つい何か話すのですが、五分前の会話のことを真剣に考えておられた」

高倉健主演映画では『冬の華』(78年)、『駅 STATION』(81年)の脚本を担当した倉本だが、実は高倉健が唯一主演した連続ドラマ『あにき』(77年)の脚本を書いているのも倉本である。高倉健から直々に依頼されて執筆した作品だった。

ちなみに『あにき』で高倉健の妹役を演じていたのが大原麗子。倉本が『やすらぎの郷』を執筆するきっかけになったのは大原の孤独死だった。

「秀さん」を演じる藤竜也は自らの役についてこう述べている。

「いざ登場という場面で、秀さんは迎えの車に乗っていない。結局、彼はボートに乗って海から颯爽と登場するわけです。このあたりが昭和の銀幕スターのイメージだよね。(中略)本人は謙虚で周りに迷惑をかけたくないと思っているのに、結果的に大げさになってしまう。大物なのに、愛嬌たっぷりなんだよね」

真冬の撮影の最中、寒い中で働いているスタッフに申し訳ないとたき火にあたることを固辞し、結果的にスタッフが誰もたき火にあたれなくなってしまったというビートたけしが好んで話す高倉健のエピソードを思い出す人も多いのではないだろうか。

「『やすらぎの郷』の秘策のひとつとして、藤に“高倉健のパロディ”をやらせてみたかった」と明かす倉本に対して、藤は「倉本さんから聞いてないよ(笑)」と自身の役のモデルが高倉健だと知らなかった模様。

「僕は健さんとはあまり仕事をご一緒したことがないから、かえって先入観を持たずに演じられて有り難いですけどね。そうか、秀さんは健さんか……」

『週刊文春』はKindleでも購入可能。