弐瓶勉最新作『人形の国』ヒロインがいいぞ「まさか私の排泄物だと思っていない?」
弐瓶勉の最新作「人形の国」第1巻が出た(月刊『少年シリウス』で連載中)。
地表の下に遺跡層を挟み、地底世界が広がっている人工天体アポシムズが舞台。
かつて地底との戦いに負けた人々は、極寒の地表に追いやられてしまう。
さらにリベドア帝国の支配と謎の病気「人形病」に怯える日々を送っていた。
あるコミュニティで暮らす青年・エスローは、空を飛んできた少女を救う。
リベドア兵から追われていた彼女は、タイターニアと名乗った。
ツインテールとぱっつんの前髪。
頭を飾るヘッドドレスとロンググローブに、ふわっとしたAラインを形取るコスチューム。
背中は、リボンをいくつもクロスした編み上げで覆われている。
ゴシックロリータのようなファッションがカワイイのだがーー。
人形みたいな姿になったり すぐ戻ったり
いったい どういうことだ?
私は折りたたみ式の自動機械
タイターニアの正体は、首と尾が長いカマキリのような姿をした自動機械。古代生物ハルキゲニアにも似ている。エスローの肩に乗れるくらいの小さなサイズだ。
人の形になるにはヘイグス粒子が必要で、少しの時間しかその姿は保てない。
ヘイグス粒子とは何かしらのエネルギー源であり、前作「シドニアの騎士」にも登場する。
リベドア皇帝の野望を阻止するため、エスローを導くタイターニア。
エスローのピンチには冷静かつ適切な指示を出し、時には身をもって彼を助ける。
ケガをしたら90日間つきっきりで看病するし、「まさか私の排泄物だと思っていない?」と少し恥ずかしさが漂う能力で癒してあげる。
その献身さゆえ、奇妙な自動機械の姿であってもカワイイのだ。
エスロー! よかった 気がついたのね!
お願いよ エスロー 私に力を貸して
話し方からは、可憐な声がイメージできる。
「シドニアの騎士」に出てきた”つむぎ”も、うねうねして卑猥な形をしていたが、ひたむきで健気なキャラクターだった。かわいいは、見た目の問題じゃない。
正規人形・エナを使った鎧化・破裂螺子・転生者・聖遺物…
世界観を表すキーワードが次々に現れるが、物語はまだ始まったばかり。
エスローは、自らを強化し仇を討つためにリベドアと戦う道を選ぶ。
少しずつ砕けた会話も始めるエスローとタイターニア。2人の関係を追うのも楽しみだ。