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岡田麿里自伝的エッセイ『学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』

シナリオライター・岡田麿里が綴った自伝的エッセイ、『学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』が文藝春秋から配信されている。

『花咲くいろは』『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『とらドラ!』『心が叫びたがってるんだ。』など、数多くの作品を手がける彼女。
美少女アニメの文法を用いつつ、いじめやセックスなど、ドキッとするような人間味を交えることで独特な作風を作る。

特に『あの花』の息苦しさは、放映当時とても話題になった。
秩父に住む、引きこもり・不登校の主人公じんたん。
彼の家は、岡田麿里本人の実家がモデルだ。

岡田麿里は小学生時代に、いじめられて不登校になった。
先生には「麿里ちゃんは、おどおどしてるからいじめられる」と言われる。

中学校で心機一転デビュー、道化的に立ち回っていい具合の位置におさまった。
ところが演じるのに疲れ果てて、全く学校に行かなくなる。

「ブラジャーのホックをはめようと努力するふりをする努力をする」という朝のルーチン。
日々、強い自意識過剰に苦しめられて、身動きできなくなっていく。
この日々を志賀直哉『暗夜行路』に出てくる単語「消日」と表現する。

高校時代に出会った先生による「文章を書くこと」の救い。
大人になり、秩父の閉塞感から逃亡。
これらの経験が『あの花』の脚本につながっていく。

母親の存在が強烈だ。
「お前みたいな子供がいるのは恥ずかしい、殺す」と、包丁で襲いかかってきたことがある。
とっかえひっかえ彼氏を家に呼んで、衣装はどんどん派手に。
その彼氏がたいていろくでもない男ばかり。
母親にDV気味だったり、娘の岡田麿里を怒鳴りつけたり、家に乗り込んで彼女を追いかけてきたり。
実家周辺が舞台の『あの花』のことを母に伝えた時、全然興味を持たず、母は娘に金をせびった。
母親の、悪人ではないけどだらしない様子はアニメ『花咲くいろは』で反映されている。

何もない日々についてもメリハリをつけてまとめている。さすがシナリオライター。
元登校拒否児の告白として、悲劇的じゃなくフラットに書いており、読みやすい。

『荒ぶる季節の乙女どもよ。』は岡田麿里原作のコミック最新作。「セックス」の語に心乱される女子高校生を描く。
性にふりまわされる女子高校生『荒ぶる季節の乙女どもよ。』お母さんは、処女じゃないんだなあ アオシマ書店