結局、アニメは誰が儲かってるのか『週刊東洋経済』「熱狂!アニメ経済圏」を電書で
電子書籍の長所の一つに、週刊誌のバックナンバーが手に入りやすいというところがある。
気になっていた『週刊東洋経済』4/1号を買った。
第1特集は「熱狂!アニメ経済圏」。
表紙には「宴の悲しすぎる裏側 制作会社の4社に1社が赤字」「このままじゃ日本のアニメはダメになる」と刺激的なコピーが載っているが、そのままの内容だ。
今のアニメ業界はビジネス誌で特集が組まれるほど活況に沸いている。
アニメ市場の規模は2015年が過去最高の1兆8225億円。
映画『君の名は。』の特大ヒットなどがあった2016年は2兆円に達する見込みだという。
記事では現在の日本を「第4次アニメブーム」と位置付けている。
伸びているのは、海外へのアニメ販売だ。
とある子ども向けアニメは、1話3500万円でアメリカのアニメのパッケージ販売・映画配給の大手会社で買われたという。
理由はアマゾンプライム、ネットフリックス、Huluなどの動画配信事業者の競争の激化。
さらに中国でも複数の事業者がユーザー獲得競争を繰り広げており、日本のアニメが高値で取引されているという。
一方、アニメの制作現場は疲弊しきっている。
製作委員会やテレビ局がアニメ会社に支払う制作費は頭打ちで、相場は1話あたり1500万~2000万円。これは20年前から変わらないのだという。
しかし、20年前と比べて、求められる映像表現の質は格段に上がっている。制作コストは上昇の一途で、アニメ制作会社の4社に1社が赤字に陥っている。
駆け出しのアニメーターは年収111万円、正社員は6人に1人……。記事中では「2兆円の宴を支える過酷すぎる実態」と表現されている。
このままでは日本のアニメ業界は瓦解しかねない。はたしてどうすればいいのか……というのが本特集の前フリだ。
・映画『君の名は。』を制作したコミックス・ウェーブ・フィルムの川口典孝氏インタビュー
・海外の上映館が2000館に達した『ソード・アート・オンライン』の岩上敦宏プロデューサー(アニプレックス社長)インタビュー
・『ひるね姫』の神山健治監督が「アニメはまだ産業じゃない」と辛辣に語るインタビュー
・『ユーリ!!!on ICE』と『おそ松さん』を制作してアニメの会社へと変貌したエイベックスについてのレポート
・アニメに製販革命を起こしつつあるポリゴン・ピクチュアズ、塩田周三代表インタビュー
・中国のアニメ爆買レポート
・聖地巡礼、アニメコラボ服、声優ライブなどの「アニメ消費」の最前線レポート
・アニメ・特撮研究家の氷川竜介氏らが選ぶ「00年代の20本」
・声優で食べていくことがいかに難しいかを語る「声優残酷物語」
などなどの記事が続く。
さらに、「2.5次元特集」が続き、小越勇輝、鈴木拡樹という2.5次元舞台注目のスターのインタビューも。
産業としてのアニメが手軽に俯瞰できる特集になっている。興味のある方はぜひ。