• トップ
  • 新刊情報
  • 「赤信号皆で渡れば怖くない」心理は避けられない『僕のヒーローアカデミア』13

「赤信号皆で渡れば怖くない」心理は避けられない『僕のヒーローアカデミア』13

アニメ二期が始まった『僕のヒーローアカデミア』13巻目が配信開始。

12から13巻は、主人公の緑谷出久をはじめ、ヒーローを目指す子どもたちが、仮免取得のため、それぞれ新必殺技を準備して試験に挑んでいる。

11巻でオールマイトが力を失って引退してからは、世の中の何もかもがずっとガタガタだ。
もちろん他のプロのヒーローたちが平和を維持するべく活躍してはいるものの、世間の不安感がずっと拭えない。
オールマイトは、アメコミの「スーパーマン」にあたる存在。戦闘も救助もこなす万能選手な上に、性格もとてもいい。
彼の決め台詞「私が来た!」。平和の象徴として、存在するだけで多くの人の心を支えた。

「赤信号皆で渡れば怖くない」
オールマイトという偶像は、信号の前にいるパトカーのような抑止力だった。
最強の「私」は、今はもう来ない。鬱屈をためていたチンピラたちは、弱くても徒党を組むことで気が強くなり、暴徒化しはじめている。

ヒーロー志望の生徒側は、「トップ」ヒーローになるのではなく、どうやって連携すればいいのかを中心に動いている。
12巻では、普段から一番になりたいはずの爆豪が、集団戦闘のことを考えてピンポイントシュートを使いこなすようになった。
13巻では氷と炎を操る轟が、他校の風を操る生徒・夜嵐イナサと、臨機応変に力をあわせて炎風のバリアを張ることに成功している。

オールマイトの力を引き継いだ緑谷を含め、みんながお互いを信頼し、連携を取っていくためどうすればいいのかが、作品のテーマになりはじめた。
ヒーロー志望たちに今必要なのは、かっこよさではない。現場で合理的に行動し、一人でも早く救うこと。そして一般市民が安心できるような、チームを作ること。
「私が来た!」を「僕達が来た!」でもいいはずだ。