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芸能人100人分の「なんでそんなこと言うの?」を一冊で『人生でムダなことばかり、みんなテレビに教わった』

「フライドチキンのような大人になりたい」(清水富美加)
「僕は理想の俳優がウォーズマンなんですよ」(堺雅人)
「並大抵のやつだったら、俺殺せるなって思って」(鈴木拓)

芸能人がテレビで発した何気ない一言。なんでこんなことを!?という発言の裏には、過去の体験や大事なポリシーが存在する(はず)。その背景を豊富な資料から読み解くのが、『人生でムダなことばかり、みんなテレビに教わった』だ。

例えば冒頭の鈴木拓の発言。気弱そうな外見の鈴木だが、実はブラジリアン柔術の使い手で、その強さは折り紙付き。番組でスベってもSNSで炎上しても「どうせ殺せるから、いっか」と前向きでいられるというのだ。

本書には、テレビっ子ライター・てれびのスキマが収集した100人分の発言が文庫一冊にぎゅうぎゅうに詰まっている。俳優や芸人など100人があいうえお順で掲載されているので、ところどころ並びにミラクルが起こっているのが楽しい。

武田鉄矢が「なりきろう、龍馬に!なりきろう、おりょうに!」と坂本龍馬への並々ならぬ熱意を唱えたと思えば、その次の田中裕二(爆笑問題)が「とにかく猫を飼いましょう!ニャーオ」と恥ずかしげもなく猫の鳴き声を真似ていたりする。

その田中の相方の太田光はといえば、「冗談で言えば何でも済まさせると思ったら大間違い」と自分のことを棚上げにしてボケ、その裏にある「自分が言ったことを無視されるのが一番ツラい。だから『死ね!』でもなんでも反応をみたい」という想いを明かす。が、その次に控えるのは妻の太田光代。爆笑問題が所属する事務所・タイタンの社長であり、家に居着いた太田を「扶養家族にしました」と、なりふり構わず節税した過去を持つ。しかし、最近全くスキンシップがないのが不満。「『好き』とか『愛してる』とか言いなさいよ!いい加減にしなさいよ!」と叫ぶ。無視されてツラいのは太田夫人の方だったのがわかるのだ。

終盤の「や」〜「わ」もすごい。矢作兼、矢部浩之、山崎弘也、山里亮太、吉田敬、レイザーラモンRG、若林正恭、渡部建。偶然か必然か、中堅芸人のオンパレード。その並びに山本耕史も紛れているのだが、香取慎吾や堀北真希を「ほぼストーキング」したエピソードは芸人達に全く引けを取らないのだった。

100チャンネルのテレビをザッピングするように、芸能人たちの姿をのぞける本書。ジミー大西「いちばん最初に発した言葉が『好き』」や、今田耕司「俺の司会、優しさだけが売りなんだよね」などは、背景を知ると言葉の意味が一変するカタルシスも味わえます。