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これはれっきとした成長物語『異世界温泉に転生した俺の効能がとんでもすぎる』

『異世界温泉に転生した俺の効能がとんでもすぎる〜アンタの中が気持ちいいわけじゃないんですけどっ!?〜』の配信が始まった。

16歳の時バス事故で死んだ主人公・草津熱美。
彼は気がつくと、ファンタジー世界の温泉になっていた。

温泉文化がない世界。たまたま通りかかった冒険者のエルフ少女・レティシアは、回復の泉のたぐいと考えて、温泉になった彼の中に浸かる。
熱美は自分に「効能」が芽生えていることに気づく。体力・魔力回復。一時強化。魔女の呪いの浄化。

すっかり元気になったレティシアが温泉をあがると、彼はレベルアップした。
温泉に堀と入り口と立て看板ができた。

「温泉に転生」という設定は、自然とサービスシーンを入れるという点では最適だろう。
しかしそれで一本長編を作るとなると、めちゃくちゃ難しいはずだ。
全く自分の意思で動けない。他キャラとのコミュニケーションが極度に制限される。

この作品は「レベルアップ=温泉の発展」という軸を作り、成長物語として仕上げられた。
人が来れば来るほど温泉の設備が充実する。風呂桶の設置。男女の垣根。脱衣所。番台。魔力を使った冷蔵庫と牛乳まで設置される。文明の発展を見るかのようだ。
加えて「回復」能力の他に強化(バフ)と弱体化(デバフ)能力も身につける。
RPGで言うところの、ヒーラーなのだ。

そこに「温泉経営」という経済的なパートを持ち込む。
熱美がある方法で意思を伝え、常連になったレティシア、神官クムと共に策を練る。
温泉が定着していない世界で、お客を呼ぶのはとても難しい。
まずは地元民の理解を得る必要がある。資金繰りも必要だ。
効能的に、冒険者はいいお客さんになるはずだ。

後半、「温泉」にしかできない力をいかんなく発揮し、クライマックスに向かう。

KADOKAWAは「異世界コミック」をレーベルとして立ち上げたくらい、今は異世界ものブーム。
中でも、転生もの・人生やり直しものは、戦国時代状態。
そんな中でも、ネタが出尽くしてはいない、イロモノな切り口でもちゃんとストーリーが作れる、と証明した作品だ