アニメとアイドルは思春期の心を救うぞ『不登校の17歳 出席日数ギリギリ日記』
漫画家・青木光恵が、中学高校で不登校だった娘の様子を描いたコミックエッセイ『不登校の17歳 出席日数ギリギリ日記』の電子書籍が配信された。
これは娘が中学時代にいじめられて、家で寝続けていた状態から高校合格するまでを描いた『中学なんていらない。 不登校の娘が高校に合格するまで』の続編。
『中学〜』では、いじめが発覚してから学校ともめ続け、塾に頼りながら家族で娘を支える様子が描かれていた。
高校に入学後。ヤンキー気質の学校で再びいじめにあってしまう。
作者は慌てず、「第2シーズン」と捉える。
中学時代は学校がきちんと対処してくれなかったことの後悔を踏まえて、今回は時系列にメモして録音。外部への助けを求める手段も先に用意した。
備えあれば、憂いは軽減できる。
この実録で興味深いのは、親が自分を守る術に焦点が当たっているところだ。
一つは自分の心のケア。
子どもが苦しんでいるのを、なんとか助けたい。
でも寄り添いすぎて全部受け止めようとすると、パンクしてしまう。
娘が不機嫌で荒れている時は特に、会話にならずしんどい。
青木光恵は友達と会ったり、一人の時間を作ったりと、時々外へ逃げだしていたそうだ。
もう一つがお金。
大学に行きたいと考える娘。お金がないから諦めて、と言うのは簡単だけど、狭い世界で苦しんでいた娘の世界を最初から狭めたくない。
大学入試制度と教育ローンの仕組みを、具体的なプラン立て経験を元に記録している。
大胆に包容する家族愛と、緻密に計算する未来予想図は、リンクしていないといけない。
さて中学の時ひとりぼっちだった娘は、高校と大学では、友達ができたそうだ。
オタクだったからだ。
イラスト部に入ったおかげで、よそのクラスの子と親しくなり、創作の楽しさも覚えた。
大学の自己紹介は「高橋晃さんとPEACH-PITさんが好きです」だったそうだ。
心身のバランスで布団から出られなくなった彼女も、バイトをはじめられるようになった。
アイドルにはまり、CDを買うなどお金を稼ぐ意欲がわいたからだ。
メイクに全く関心がなかったが、アイドルのメイク動画配信を見て化粧品を買う気力が湧いたそうだ。
アニメとアイドルすげえ! 生きる力そのものじゃないか。
オタクだと友達ができない、と言う過去の感覚は、随分変わったんだなあ。
狭い学校の価値観に縛られる必要なんてない。
「多少寄り道しても最終的に、自立できれば結果オーライ!」
そう親指をたてながら、作者は子育てもうひと頑張り、グッと踏ん張りをきかせる。