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死とごはんマンガ『えびがわ町の妖怪カフェ』『君が死なない日のごはん』

死とごはん
というのは、結びつくかなさそうで、実は根っこのところで深く結びつくテーマだ。
なんて考えたのは、最近でた二冊のマンガが、死とごはんを描いたものだったから。

ひとつは『えびがわ町の妖怪カフェ』1巻。
『女神異聞録ペルソナ』『BAROQUE 欠落のパラダイム』の上田信舟最新作だ。
主人公は高梨まな
9歳の女の子。
夏休みの間、岐阜県のえび川町の佐吉おじさんのところに預けられる。
佐吉おじさんは、「カフェ・居酒屋ようけ」という店をやっていて、おいしい油揚げを作ってくれる。
まなちゃんの食の好みは9歳にしては激渋で、カフェというよりも居酒屋メニューが連続で出てきて、これがおいしそう。
作り方も丁寧に描いていて、お腹が減ってるときに読むと、うわーーってなるのだった。
で。
おいしそーってだけのマンガではなく、まなちゃんは妖怪が見えてしまう。
油揚げのニオイにつられてきたお客さんがキツネであることを見抜く。
そのことを知った佐吉おじさんは、気味悪いと思うのではなく、まなちゃんを(そして、妖怪も)受け入れるのだ。
葉っぱのお金をだしたキツネに対して、
「なんで今日は来た!? えっ!? なんで今までは来なかったんや!?」
と言っており、佐吉おじさんの側にも何か事情がありそう……。
お盆の精霊馬のエピソードや、極楽に行けると言われている戒壇めぐりのエピソードもあり、
まだまだ謎に包まれている佐吉おじさんの事情には、
ほんのりと死という異界へと繋がる何かがありそうな予感……。

もうひとつは『君が死なない日のごはん』1巻。
『バベル式 神ガール』『モンデ・キント』のおみおみ最新作だ。
主人公は蝉丸くん。隣に住んでる幼なじみの向田みかが事故に会って昏睡状態。
蝉丸くんは、そんなときに、
(あいつはアホで図々しくて面倒な奴だった 正直あんまり悲しくない)
とか思っちゃってて、
(冷たいんかなー俺)
って自問してるけど、冷たすぎるよ、そりゃ!
ってオープニングから、彼の部屋に訪れてくるのは向田みか。
体は病院のまま生霊が、心残りがあって彼の家へやってくる。
何が心残りかというと「食べたいものがあって……」
ところが、生霊は料理道具も持てず、料理できない。
ので、みかの指導で、したことのない蝉丸くんが料理をはじめる。
という設定。
なんだけど、食べたら心残りなくなって死んじゃうから、
これ何話も続けられなさそうだけどどうするんだろ?
って思ってると。
第1話ラスト、映像的にインパクトのあるクライマックスから急転直下、
そうつなげるか!
と驚きの展開。
蝉丸くんは完全にツンデレで、冷たい言動だけど、なんだかんだとみかちゃんのために尽すのだった。
ハードな設定なようで、ほのぼの展開か。
と思わせておいて、またもや1巻のラストで、ええええー急転直下、とんでもない展開が待ち受けておるぞ。

ごはん食べないと飢えて死んじゃうけど、
ごはん食べるのってエネルギーのためだけじゃないし、
生きてるのも、そう。
だれかのために作るごはんは、何かのメッセージなのだ。