女子中学生、ラノベで大ヒットを狙う『ななかさんの印税生活』のラノベ批評
女子中学生、売れるラノベ作家を目指す。
『ななかさんの印税生活』1巻の電子書籍配信がはじまった。
両親がマンガ家の中学生、ななか。「あの人たちより印税収入を稼ぐ」と決意する。
人付き合いのいい友人のみきと、絵を描くのが好きで仕方ないマイペースなまいを巻き込み、ラノベ研究に励む。
女子中学生のズレた創作活動を描いたコメディ。
ベースには、昨今のラノベ批評が練り込まれている。
たとえば「妹キャラクター」。
ラノベ投稿サイトで食いついてもらうには、重要なファクターだ。
「何か妙なこと思いついたらとりあえず妹にさせてみる、ラノベヒエラルキーの頂点です」ななかは大雑把に言うが、これ案外間違っていない。
ラノベにおける妹キャラは「カレー」である論。
妹ネタラノベは、手に負えないくらい多い。読む方は「またか」となり、書く方は新規開拓が難しい。
でもカレーは飽きない。手を加えると全く別物になる。晩御飯カレーだとちょっと嬉しい。
妹キャラも同じだ。
今、投稿物ラノベでは「異世界モノ(転生など)」がめちゃくちゃ強い。
ざっくりいうと中世ヨーロッパ風ではあるのだが、昨今は必ずしもそうじゃないのは、慣れている人だとなんとなくわかる。
オタク界隈に詳しくないイラスト担当のまいは、どう「異世界」っぽい服装にすればいいか迷う。
ななかは「断定されると案外人は慣れる」と説明。
学生服っぽくても、全裸に近くても、言い切れば成立する。これが異世界モノの魅力でもある。
ラノベを売るにはどうすればいいか、というプロの視線を描いたマンガが『金のタマゴ』。
こちらは、面白いから売れるというわけではない、という売上とのシビアな戦いの角度から見たラノベ論が展開されているので、比較してみてほしい。