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2日で書いた小説は果たして面白いのか。電書リリース大会「NovelJam」審査員興奮レポ

最初に聞いたときは、無謀なイベントだなーと思った。
できるの?と思いつつ、打ち合わせして、無謀だから面白いなと思って、審査員を引き受けることにした。

編集者と作家とデザイナーがタッグを組んで、二日間で短編を書き上げるイベント「NovelJam」だ。
2017年2月4日と2月5日で開催、全17作品が、電書「BCCKS」にアップされた。

二日目の午後11時、会場に入る。
集中と熱気がミックスした独特の雰囲気。
30人近い人々が、3人1チームで、机を囲んで、だが、それぞれがパソコンと格闘している。

視覚的な絵としては、みんながわいわい議論を交わしてうるさそうだ。
が、ときどき「いや、これは物語の本筋に関係ないから削ろう」なんて声が漏れ聞こえてくるだけで、会場は静か。
ときどき笑い声と会話が聞こえてくるのは、奥側のイラストチーム。
言葉を書く場と、絵を書く場って、雰囲気がめちゃめちゃ違う。

昼の12時に作品が完成する予定で、そこから4時半まで、審査員は作品を読む。
審査員は、以下の4人。
藤井太洋(作家)
米光一成(ゲーム作家)
海猫沢めろん(文筆家)
鷹野凌(NPO法人日本独立作家同盟理事長)

全17作品で、1作品3,000字ぐらいと聞いていたのだが、
なんと2万字を超える作品もあって、計約13万字。
単行本一冊ぐらいの分量だ。
しかもトーンの違う作品が17作品もあるので、読み終わる余韻にひたる間もなし。
頭をリセットして次の作品に向き合わねばならぬ。
しかも審査なので二度読んだり、チェックしたり、あれこれ、やー、たいへんだった。
しかも、こういう場に来てチャレンジしてる人たちだってこともあるだろうけど、「これ、ぜんぜんダメだから途中で読むの止めていいよね」って作品がない。
貴重な体験でした。
その後は、編集者による作品プレゼン大会があり、審査会、授賞式。
受賞結果は以下の通り。

最優秀賞
『原稿は来週水曜までに』
新城カズマ(著)
賀屋聡子(編集)

優秀賞
『PAUSA』
澤俊之(著)
波野發作(編)
亀山鶴子著(表紙デザイン)

藤井太洋賞
『輝家魔法的肉包子店』
かずはし とも(著)
藤澤千尋(編)
藤沢チヒロ(装画・デザイン)

米光一成賞
『スパアン』
米田淳一(著)
波野發作(編)

海猫沢めろん賞
『老人とプログラム言語』
松永肇一(著)
賀屋聡子(編)

日本独立作家同盟賞
『世界を救っても恋は実らない』
マテバ牛乳(著)
高橋文樹著(編)

最優秀賞の新城カズマさんは、ベテランの作家。
審査中も「プロの作家が最優秀賞って、イベントとしては、どうだろう」って懸念もチラと出たけれど、
圧倒的なリーダビリティとおもしろさ、二日で作品を作っているライブ感とシンクロする内容が熱いッ
ということで
「これしかないよね」という結論に。
打ち上げの場では、審査員のみんなで全作品講評を熱く語った(語りたくなるぐらい熱気に溢れていたのだ)。