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エヴァはどこまで見せるのがベストでしょう問題『木根さんの1人でキネマ』3巻

「映画秘宝」系映画好きをこじらせすぎて、なかなか趣味仲間ができない30代女性、木根真知子。
映画はあまり観ない初心者、離婚して木根真知子の家に転がり込んだ佐藤香澄。
二人を中心に、映画を巡る激論の日々が続く。

「木根さんの1人でキネマ」は、「映画を見る人」の生態や偏見、愛情に憎悪、論破合戦を描いたドタバタコメディ。
2巻では「ジブリ作品」をテーマに、「ジブリ見てないなんておかしい、という風潮」を描きながら、「ジブリでどの作品がオススメか問題」で、木根(ジブリ見てない)以外が大喧嘩。
これがネットで賛否両論、というかキャラと一緒に大騒ぎ。
ジブリに関して言いたいこと・譲れないことって、あるあるすぎる。あ、ぼくは「紅の豚」派です。

電子書籍配信がはじまったばかりの3巻では
「「スターウォーズ」の知識を振りかざす、オタク第一世代の懐古主義問題」
「子どもに「ジョーズ」のような映画を見せていいのか問題」
「「相手を論破したいだけ」映画論問題」
「ファンが集まった時、ルールを決めすぎてカルト化する「ファイトクラブ」問題」
など、映画ファンが陥りがちなワナに切り込んでいく。

3巻収録の、木根と佐藤がはじめて「エヴァンゲリオン」を見る回も、ネットで話題になった。
アニメファンの友達が木根に押し付けてきたBDはエヴァTV版全26話。

1話であっという間にエヴァにハマる二人。ぶっ続けで見入る。
そして徹夜明け、ワクワクしながら弐拾伍話、弐拾六話。
……終わっていないじゃん。
木根は暴走した初号機のごとく、貸してくれた友人の家に殴り込んだのだった。

エヴァは、90年代の体験無しに語るのが難しい。
あの前衛的な弐拾伍話、弐拾六話を見て、モヤモヤしたまま何度も待たされて、終わりと言われても悶々とする。もっとヒントを、もっと答えを!
「渇望させるメディア」だったエヴァを、ファンは他の人に伝えたい。
もっとも新規で見る人には迷惑でしかない。

キャラクターの喧々諤々が楽しい「木根さんの1人でキネマ」は、いい具合に毎回映画好きの間に、燃料を投下してくれる。
特にみんなでつっこめるニコニコ静画との相性が抜群。
問題のジブリ回、エヴァ回も見られます。