小学生版孤独のグルメ『ろりめし』はちょっぴりビター

猫間ことみつ「ろりめし」の電子書籍配信が始まった。
この「ろり」は「LONELY」の意味。


 
日比谷小学校に通う、五年生の大井しいな。
背が小さい彼女、昼食時になると学校を抜け、霞が関の飲食店に出没。
彼女のはいる店は、まず小学生が1人で入らないところばかり。
官庁の食堂、純喫茶、居酒屋、駅前ビルのカフェテラス、牛丼屋。

友だちがいないわけじゃない。
オトナになりたい彼女は背伸びしまくって、1人で食べ歩くのが好きなだけ。
割と行き当たりばったりで店に入る。
彼女はその場の勘でメニューを選んで、注文をする。

ポジティブなしいな。おっさんの群れに囲まれて1人頭の中であれこれ考えながら、ご飯を食べる。
序盤はなんの説明もないので、この子大丈夫なのかと心配になる。親御さんは?お金は?
話が進むと家庭事情が見えてくる。
たまたま入った食堂「おふくろの味 きね」でのこと。
「おふくろの味がどんな味かは、私にはやっぱりよくわからなかった」

食との出会いをエンジョイする彼女、でもたまに失敗もする。
漢字が読めなかったり、飲めないのにコーヒーを頼んだり、似た料理頼んでしまったり。

「孤独のグルメ」の井之頭五郎は、食の失敗を人生の苦みのように味わっていた。
しいなが経験する失敗は、冒険の結果であり、妥協の体験。
目の前のことを受け入れ、楽しみに変えていく。それも成長の過程の一つ。