フランス革命にゾンビや悪魔がごった煮で凄い『ベルサイユオブザデッド』
本作はタイトルからお分かりの通り、18世紀のヨーロッパを舞台に、フランスに輿入れするオーストラリア皇女、マリー・アントワネットの姿を描いた物語…………
……ではなーい!
ではないのです! 輿入れするのはマリー・アントワネットの双子の弟のアルベールくん! ナンデ? だってアントワネットはゾンビに噛まれて死んだから!
(参考)
というわけで、本作はフランス革命前夜のマリー・アントワネットの物語に単にゾンビを突っ込んだというだけのものではないのです。そもそもアントワネットじゃなくて、女装してアントワネットのフリをしているアルベールくんが主人公だし、なんかアルベールくんは悪魔に取り憑かれてるっぽいし、ルイ十六世もエヴァンゲリオンのアダムみたいな謎存在を地下空間に隠し持っていたりで、ベースとなるヒストリーの上に二重三重に色んなトンデモ要素が乗っかっており、すっごい闇鍋状態。
しかし、一方でベースとなる「革命前夜のフランス」感もしっかりと出ていまして、それはやはりヴィジュアル面の力が大きいですね。当時のフランス貴族たちの衣装や、建造物、内装などが描かれることで、歴史的事実に根ざしている感覚がきっちり保たれています。ここがしっかりしているので他の要素が闇鍋状態でも迷わず読めます。
また、ゾンビ要素で言えば、ゾンビに組み伏せられて眼前で歯をガチガチされたり、両親がゾンビとして蘇った子供を匿っていたら騎士団がやってきて無情に処分するなどのお約束要素もあちこちに盛り込まれています。
悪魔憑きのせいかやたらと強いアントワネット(アルベール)に対するは、ゾンビの群れの中を平気で歩き回るどこか異様なナポレオン。おそらくこの二者が敵対する流れになるとは思うのですが、どっちもどっちで凶悪で、人ならざる空気をまとっています。
ゾンビ現象を広めていると思しき司教&ナポレオン一派。悪魔に取り憑かれたアントワネット。どっちが勝ってもどっちにしろ酷いことになりそうで、悪vs悪なニュアンスが強い第一巻でした。これからどっちが勝つのか、どうやって戦うのかすら全然予想がつかないぜ!
参考→もし、あの『こころ』にゾンビが出たら? 夏目漱石ホラーアクション『こころオブ・ザ・デッド』