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「1週間以内に本屋で買ってくれないと重版されない」って脅されると買いたくなくなる

「1週間以内に本屋で買ってくれないと重版されないのでお願いします」といった宣伝ツイートを見ると、
「なんで、そんなそっちの勝手な都合を押し付けるの?って思って買うのやめたことある」って言ってる人に少なくとも3人は会った。
こういう消極的な意志はなかなか届かない。

本好きで集まったとき、話題にした。
「最初はあわてて買ってたけど、さすがにいくつもあるともう無理」
「脅されて買った感じになって、気分良くないよね」
「どう考えたって、そんな自転車操業やってたら滅びるでしょ」
「だいたいそういうツイートされるコミックスって、うちの近所の本屋には入ってないんだよね」
とあれこれ感想が出た。

ぼくはゲームデザイナーだ。
ゲームをつくっていたときは、発売日前は販売促進でインタビューやイベントやらで動いてた。
その後、本を出したとき、本の世界ではそういうのがあんまりなくて驚いた。
販売初日を重視してない感じが、のんびりしてて、それはそれでいい文化だなーと思った。
長い目で見て売っていくんだなーと感じていたし、実際にそういった側面もあった。

ところが、一部の出版業界が厳しくなってきて、長い目で見ることができない現場も出てきた。

「ほぼ売り切って本屋にもないのにもかかわらず、初速が悪かったから増刷はできない」というケースも出てきた。
こうなると著者はどうしようもない。
本屋にもないのだから、販売促進をがんばるわけにもいかぬ。
増刷もしてくれない。
初速が悪いと言われても、いまさらどうしようもない。
「どうしたら増刷になりますか?」と聞くと、「テレビに出るとかー」
増刷のために何かやらかす作家が出てくるんじゃないかと思わせる返事だ。

「数週間で判断されるので買って」って読者に直で訴えかけるのって、状況的に断末魔だ。

もちろん本当に断末魔なのかもしれない。そう考えて応援だと思って買うこともあるだろうけど、それが多発したら、もうそれは断末魔の安売りだ。

読者にしても、2巻が出ずに途中で放り出される可能性が大きいマンガを買うのはつらい。

出版社は、出すって決めたら、完結まで出すのが目指すべき姿じゃないだろうか。
そういった意気込みで作っているのではないのか。

過渡期なのだろう。
読者のことを考えて、紙本と電書で連携して売っていくところが伸びていくだろう。

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ライター情報

米光一成

米光一成

ゲーム作家/ライター/デジタルハリウッド大学客員教授。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「想像と言葉」等。
https://twitter.com/yonemitsu