はあちゅう文芸誌「群像」デビュー。夢の叶え方を読む

ブロガーであり作家のはあちゅうが、2017年1月7日発売の雑誌『群像』で、念願の文芸誌デビューを果たした。
掲載されたのは3篇の小説。「世界が終わる前に」「サンディエゴの38度線」「六本木のネバーランド」。

あっちは生まれながらに主人公を約束された人生で、こちらは、所詮脇役なのだという胸の痛みさえ我慢すれば、彼を見ているのは気持ちがよかった。
(『群像』2017年2月号「世界が終わる前に」P84)

2016年12月のインタビュー記事では、自分のダサい過去について語ったはあちゅう。
自分を「人生の脇役」と評する小説の主人公たち。スクールカーストや肩書きを気にしてきたはあちゅう本人と重なる。
そのコンプレックスや憂鬱の乗りこなし方を書いた本は、落ち込んだ夜に読むとほっとする。

●とにかくウツなOLの、人生を変える1か月

これは「人生への不満は、数えていけばキリがない。」と言うOLの奈緒が、カウンセラー・ヒカリに出会うストーリー仕立ての自己啓発書だ。
風邪だと聞いて心配し栄養ドリンクを持って来た同期の男性に、奈緒は卑屈な思いを抱いてしまう。

「弱ってる同期に栄養ドリンクを届ける俺」というお芝居に付き合わされているような気がしてくる。

人助けを厭わない明るい人物に引け目を感じたのだ。はあちゅうの思考が、そのまま生かされている。
では、どんなアドバイスを受け、どんな思考を習得することで人生を変えたのか。実践に基づいて書かれていると思うと心強い。

ヒカリに「不幸せだって思い込んで自分を憐れんで、安全地帯から動かなければ、傷付くことはない」と指摘され、ショックを受ける奈緒。
「自分が幸せだって認めるのって、勇気がいることなのよ」
はあちゅうも、誰かに言われてガーン! と衝撃を受けたのかもしれない。

●疲れた日は頑張って生きた日 うつ姫のつぶやき日記

嫉妬されてる時は、
うまくいってる時。

昔、はあちゅうがインターネット上でブスと言われたことがあった。落ち込みながらGoogleで「ブス」と検索したら、一番上に自分が出てきてショックで寝込んだそうだ。
堂々と見えるが、叩かれたり妬まれたりするたびに落ち込んできたはあちゅう。しんどい日々から生まれた愚痴と励まし、気付きが「うつ姫」のつぶやきとして書かれている。

不倫が…とか二股が…とか、
死ぬほど落ち込むようなことだって、
世の中には無限にサンプルがあるので、
たくさんの人が通った道だと思ったら、
乗り越えられる気が湧いてくるはず。

傷付きやすいうつ姫だけど、つらいときにも暗闇の中で周りを見渡そうとする。
この世界に必ずヒントがあると信じるはあちゅうの、ハングリーで素直な面がとても可愛い。

●小さな野心を燃料にして、人生を最高傑作にする方法

「人生って淡々と続くし、環境をいくら変えても自分は何も変わらないんだな」と実感しました。

一年の中で何度も旅行にでかけていたり有名なレストランに行っていたり。はあちゅうのブログを読む限り、華やかな生活をしているように見える。
しかし、本書では、キラキラとした活動の水面下ではあちゅうがどれだけバタ足をしているかが赤裸々に書かれている。
「理想の自分」を叶えるためには、表に出さない部分で何をするべきか。

かっこ悪いことも率先してやってこそ、誰かの心が動くんだと思っています。

はあちゅうは、失敗も明るく語ってくれる。
「才能がある人はいいな」とうらやんでいた自分が恥ずかしい。気が引き締まるけど、軽い気分で読めるコラムばかりだ。

はあちゅうの夢の叶え方をもっと知りたいときには『半径5メートルの野望 完全版』もおすすめ。

***

過去の著作でコンプレックスや考え方を知り、改めて小説を読むと「これはきっとはあちゅうの実体験だ」と気付くことも多い。

試行錯誤しながら自分の人生を生きる姿を見せることで、同じように悩む人を勇気づけてきたはあちゅう。
夢だと話していた文芸誌デビュー自体が「こうやって生きたら、夢は叶うんだよ」という優しいメッセージに思える。

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ライター情報

むらたえりか

むらたえりか

宮城県出身。ライター。好きなものはハロプロとベガルタ仙台と東映ヒーロー。好きな漫画は『ちひろ』(安田弘之)です。
https://twitter.com/ericca_u