コンビニ食材を求めてお嬢様が大冒険『コンビニお嬢様』

「コンビニお嬢様」2巻の電子書籍配信がはじまった。


「ごきげんよう」。いろは女学園に通う兎月翠里は、良家のお嬢様。
厳しいしつけの元育った彼女は、一般的な娯楽に接してこなかった。

彼女の憧れは、コンビニでの買い食い
学校や友人、まして親にバレるわけにはいかない。
それでも、リスクを犯してでも、食べたい。
今は女子寮住まいの彼女。
友人に見つからないよう変装をして、コンビニ食を手に入れる……!

「コンビニで買い物をするための隠密行動」
「美味しくするための実験的調理」
2つの冒険の物語だ。

時間がたって冷めてしまい、フニャフニャになった肉まん。
これにごま油を塗り、七輪で炙る。だし・しょうゆ・片栗粉などでつくったあんをかけて、ごまと焼のりを添える。
あんかけ肉まんの完成。パリっとしていて、出汁がしみてジューシー。
手堅い。

コンビニからあげを買った彼女。
たまたま持っていたアルフォート、漢梅グミ、ヴェルサスオリジナルを乗せて、オーブンで焼いてみる。
冒険的すぎる。

彼女にとっては、味が濃いめのコンビニ料理は、未知の存在。
簡単に手に入る素材を、お嬢様視点で、思いもしない角度から切り取っているのが面白い。

2巻までは、自分の好奇心のみでコンビニグルメを楽しんでいた。
しかし彼女の究極目標は、友達と一緒に談笑しながら、のびのびと買い食いすること。
これができない。人に自分の好きなものを晒すのが、怖いのだ。

コミュニケーション不全物語でもある。
2巻後半からは、彼女の「自分を出せない」コンプレックスが少しずつ溶け始める。
コンビニ趣味はヒミツにしながらも、友人と一緒に、味わう喜びを共有しはじめる。