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今夜「響け!ユーフォニアム2」「性格悪いって言われるかもだけど、もう奥さん、いないんだよ」

「響け!ユーフォニアム2」アニメ11話は、麗奈の片思いの物語。そして妻を亡くした滝先生の心の物語。
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●麗奈のまっすぐすぎる恋
一見優等生な高坂麗奈
彼女の行動は、時々危うい。

顧問の滝先生に、熱い恋心を抱く麗奈。彼の机の上にあった写真を見て、結婚していたこと、奥さんを亡くしていたことに気づいてしまう。
大混乱の彼女。演奏がうまくできなくなり、隠していた久美子に怒り、家族に八つ当たりしてしまう。

好きすぎて、滝先生が顧問することになった北宇治高校に入学するほどの麗奈。
彼女の恋はまっすぐで気持ちいい。
でも滝先生に向ける視線は、盲信的だ。

1期4話では久美子と秀一に「言っとくけど、滝先生すごい人だから!バカにしたら許さないから!」と叫んだ。
2期6話では「滝先生が顧問でよかった」という久美子に「当然でしょ」と言う。

滝先生の指導は非常に合理的。皆がついてくる、カリスマ型の教師だ。
問題は、麗奈がそのカリスマに完全に飲まれていること。
恋愛だけならまだしも、彼女の「音楽」は、滝先生のためにある状態だ。
もし滝先生が何らかで崩れた場合、彼女の演奏も共倒れしかねない。

麗奈は基本、聡明な子として描かれている。
しかし滝先生のことになると、とたんにポンコツになる。
2期2話では、滝先生が女性の新山先生といることに不安を覚え、死んだ魚の眼でカレーをこぼしていた。
6話では他の学校の女子に囲まれていた滝先生に、嫉妬からとっさに嘘をついた。

●「麗奈って結構めんどくさいところあるからなー」
久美子は2期序盤で、麗奈を「大人っぽい」と称していた。
「同い年なのにぜんぜん違う気がする。見た目も中身も」(2話)

麗奈は薄々、自分が弱いことを感じている。
だから1期オーディションの時も久美子に弱音をはいた。
滝先生に話かける時、久美子の助力がないと行けない。
不安ごとがあるたびに久美子を頼り、自分を鼓舞している。

安済知佳(高坂麗奈役声優)「久美子に初めて滝先生への想いを打ち明けたことで、気持ちが盛り上がっているんじゃないかと思うんです。久美子が自分の気持ちをわかってくれているから、ひとりで恋をしているときより気持ちが昂ぶっていると思うんですね」(Febri Vol.39より)
どうにも彼女は、浮つきがち。
その浮つきが演奏への情熱になっている。だから、今回足元をすくわれてしまった。

コミュニケーションベタな彼女。
恋愛だけじゃなく、友人に対しても視野が狭い。
高校に入って、久美子たちに出会い、視界が一気に広がった。いつもワクワクしている。
葉月の「3秒ルール」を楽しそうに真似していたのは、麗奈の子供っぽさをよく表現している。

安済知佳「これまではトランペットと滝先生に対する想いだけで生きてきて、あまり人とコミュニケーションをとることがなかったと思うんですが、そこに久美子という面白い存在が現れた。興味を持って接していくことで、彼女から学ぶことは多かったんでしょう」「麗奈はコミュニケーションのインプットをすごくしていて、「どこで使うか?」とワクワクしている彼女もちょこちょこ見ることができたように思います」(Febri Vol.39より)

久美子の麗奈への評価は、2話の「大人っぽい」から一転している。
「麗奈って結構めんどくさいところあるからなー、ささいなことにこだわるというか」
「人間味が出てきた」と言う意味合いだ。

「私自分の弱さにびっくりした。奥さんがいたって聞いた時、ヤバイくらい動揺して」
「ヤバイ」という言葉は、今までのきっちりした言葉を話す麗奈が使うとは思えない単語。
友達からインプットした単語だろう。
めんどくさくなれたのは、いいことなのだ。

●もう奥さん、いないんだよ
久美子の、麗奈への発言。
「こんなこと言うとまた性格悪いって言われるかもだけど、もう奥さん、いないんだよ」

思春期のモヤモヤは、時に倫理を踏み越える発言を引き出す。
1期11話で、オーディションで負ける不安を麗奈は久美子に打ち明けた。
その時の久美子の発言。
「もしも裏切ったら、殺していい」

どちらも、「自分も共犯になる」という意味だろう。
もちろん罪でもなんでもない。
悩んでいるなら私も心中する、くらいの勢いで麗奈の背中を押そうとしている、精一杯の表現だ。
そんな久美子だから、麗奈は手加減せずぶつかることができる。

●「滝先生奥さんのこと好きだよね。大好きだよね」
麗奈は、滝先生に奥さんがどんな人だったのか、どうやって生きて、どんな死を迎えたかを聞いた。
彼が奥さんをどう思い、どんな気持ちで今顧問をしているのかを聞いた。
そして、久美子と2人で奥さんの墓参りに行った。

麗奈「滝先生、奥さんのこと好きだよね。大好きだよね」
久美子ですら彼女の自傷的行為に対して、「バカだと思う」と言い放った。

麗奈は、全てをはっきりさせないと前に進めない子だ。
合宿の時も、今回も、間接的に聞くのでは納得しない。
滝先生に直接全部聞きに行っている。

奥さんへの墓参りは、彼女なりのけじめだ。
お墓に、彼女は「金賞取りたい。滝先生の夢をかなえてあげたい」と言った。
それはひいては、滝先生の奥さんの夢をかなえること、でもある。
久美子の「もう奥さん、いないんだよ」へのアンサーだ。

これでまた一つ、麗奈の皮がむけたように見える……が、意外とそうでもない。
まだ「滝先生のため」から脱しきれない。

心の整理をするだけの技術を身につけた彼女。
彼女のモットー「特別になる」が滝先生のためじゃなく、「自分のため」になるのには、もう少し経験が必要そう。
ただこの憧れと痛みを高校時代に味わえているのは、今後を考えると彼女にとって幸せなことだ。

今回は2年生の中川夏紀吉川優子の成長が目立った回でもあった。
夏紀はかつて、2年生大量脱退の後に心が死んでいたことがあった。優子はオーディションの際、麗奈に八百長を持ちかけたことがあった。
11話、夏紀は自分に向き合ったあすか先輩に、優子は吹けなくなった後輩の麗奈に、自らアプローチする。困っている仲間の力になろうと、声を出した。
この後彼女たちがどう育っていったかは、原作の外伝「北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話」に収録されている。

12話は、ついに全国大会前日。秀一と久美子の間に進展があるような無いような、多分無さそうな……!

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