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ネグレクト被害の12歳少年と30歳女性との危うい日々『私の少年』

成人女性と、美少年。「このマンガがすごい!」オトコ編で2位になった「私の少年」2巻の電子書籍配信が始まった。


30歳の女性、多和田聡子。会社ではストレス限界の日々。
ある日、彼女は公園で1人、サッカーの練習をしている、美少女と見まごう少年を見つける。
12歳の早見真修。さすがに夜中にほうっておけないと、聡子は真修のサッカーの練習に付き合い始める。
生気のない型にはまった言葉、伸びた長い髪、12歳の割に幼い服装。
ネグレクトだった。
「甘々と稲妻」「銀のニーナ」など、男性と少女を組み合わせた作品は、成人男性の成長を表現するのにうってつけだ。


男たちは少女を助け育てるために、自らの欠点を見つめ直し、奮起する。
一方で「女性と少年」の組み合わせであるこの作品は、最初からしっかりとした保護者目線。
問題になっているのはどこまで相手の領域に入っていいのかという、体裁の方だ。

真修にマメに気を使う聡子。聡子を慕う真修。関係は極めて良好だ。
だがこう言う人もいる。
「自分の子どもが近所に住んでる大人にやたら懐いて、あげく金まで与えられてるとか、ぞっとするわ」

真修は、細い身体、無邪気な笑顔、さらさらな髪の毛など、少年のエロスあふれるキャラクター。
作中では、聡子を少年を性的な目線で見ている、とは誰も考えていない。
「男性と少女」ものなら、血縁でもない限り「ロリコン」の語はほぼ不可避なのに、それがない。

普段からストップをかけていないからこそ、道を外れた時の危険度は高い。
疑似家族的にも、性的にも、所有欲的にも。
タイトルが「私「の」少年」なのは、とてもひっかかる。

救われてほしいけれど、聡子と真修の、危うい綱渡り関係は限界まで見ていたい。
いっそとことん堕ちてもいい。