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『げんしけん二代目』最終巻配信。オタクの世代は大きく入れ替わったんだなあ

「オタク」の意味が、00年代から10年代、10年後越しの連載中に、大きく変わったと思う。
木尾士目「げんしけん」21巻、二代目でカウントすると12巻めの、最終巻が配信された。

「現代視覚文化研究会」という、何やってんのかわからないオタクサークルを描いた作品。
初代にあたるのは、2002年の1巻から2006年の9巻。
二代目は2011年の10巻から2016年の21巻までだ。

初代は、マンガを読みゲームをしアニメの話をする、割と内向きな男性オタクの比率が高かった。
二代目10巻は2011年スタート。BL好き腐女子に女装少年に歴女にコスプレイヤー。みな明るく、かなりオープンな女子オタクが多め。

初代で「オタク」の象徴として描かれた、90年代型インナー系男子・斑目。
新入生のノリを見て。自らの失恋を経て。自分のような旧式オタクの終焉を噛み締めていた。
そんな彼に突然のモテ期到来。オタク一般人問わず女性4人(うち一人女装男子)にモテまくる「斑目ハーレム」に巻き込まれる。
その中から一人選べ、と追い詰められていたのが終盤の展開だ。

最終巻では斑目ハーレムが終わり、彼もついに一人と交際することに。
と、いかにもラブコメな展開だが、会話の中身は性行為込み。いちいち生々しい。

恋愛・交際を基盤としたセックス込みの「オタクの性」は、マンガだとあまり描かれない題材だ。
(オタサーの姫など、ブラックな方面は多いですが)
二代目では女装少年の波戸と斑目が、付き合ったらヤれるのか、それはBLなのか、と悩む。
アメリカ人のアンジェラにいたっては、性的なシェア・セックスフレンドは現実的にありだ、とまで言う。

「モテない」「二次元最高」「エロゲで抜く!」みたいなノリだった初代。
非童貞・非処女率があがったことで「ヤったか?」「ヤっちゃえ!」みたいな話が増えた二代目。
成長して心に余裕ができたからか。それともオタク趣味に寄せる情念の比重が恋愛に行ったのか。
少なくとも、「オタクしか生きる道がない!」というキャラはあまりいなくなった。

楽しいラブコメだ。
しかし、一人また一人と交際し、初代の主役キャラOBたちが仕事に勤しむ姿は、読んでいて「オタクモラトリアムには、い続けられない」という現実を叩きつけてくる。
あと、部内で産まれたカップルがヤッたかヤッてないかって、そんな仲間内で話し合うもんなんですか、どうなんですか。