靴とスカートは同色であれ。英国銀行の成功のための服装術『モードとエロスと資本』
中野香織『モードとエロスと資本』(集英社新書)が、2016/11/22現在、 194円の割引(26%)で、113ポイント(20%)還元。
不況(recession)でもファッショニスタ(ファッションに対する関心の高い人)であろうとする人を表現する新語「リセッショニスタ」を出発点として、ニ〇〇〇年からの一〇年間のファッション史をコンパクトに記した本だ。
『ヴォーグ』編集長のアナ・ウィンターが、公の場で三度も着まわしたモード界の革命はどういう意味を持っていたのか?
倫理的な贅沢「エシカル・ラグジュアリー」ブームはなぜ起こったのか?
「ファーはエコロジカル」という主張は、納得できるものなのか?
「靴とスカートは同色でなければならない」英国銀行の「成功のための服装術」セミナーの反響は?
違法恋愛が贅沢を生み、贅沢の競い合いがモードを生んだ?
モテ服に走れば走るほど恋愛から遠くなる?
ニ〇世紀までは恋愛の物語がモードを回していたが、ニ一世紀になって?
モードとマンガの接近は?
具体的な例とキーワードをガンガン詰め込んでスピーディーに展開する記述は、ファッションだけでなく、ファッションから見えるこの10年を把握するのにバッチリ。とても面白い。
章タイトが本書のトーンをよく伝えている。
章タイトルを引用しよう。
序章 リセッショニスタの復活
第一章 倫理を着こなすリセッショニスタ
第二章 「失わない」ための服装術
第三章 暴走資本主義が愛を蹴散らし、モードを殺す
第四章 現実を超えていくための「マンガ」と「エロい」
第五章 ラグジュアリーと激安品のはざまで
モードにのかっておべんちゃらを書くのではなく、フェアな書きっぷりで、時に皮肉たっぷり。
えええーって反論したい内容もあるけれど、小気味いい。オススメ。