友だちと一緒に給食って、ほんとつらかった『給食の時間です。』
飯田「給食の時間です。」1巻が、Kindleなどで配信開始している。
5年生の佐野和彦は、給食をおいしいと思えなかった。
というのも4年生の時一緒に食べていた友人とわかれて、孤立してしまったからだ。
最初の一ヶ月でクラスデビューするのは失敗。
給食の味なんて楽しむ余裕あるわけがない。「俺も一緒に食べていい?」と言うタイミングを逃した。
隣の席の岩谷実子は、一人でもりもり給食を食べ、帰り道でつつじの蜜を一人ちゅうちゅう吸う少女。周りからは変人扱いされていた。
佐野は彼女のことが理解できなかった。
岩谷はというと、幸せそうに「給食が好き」という。
「掃除の時間も好きだし…うーん雑巾掛けが一番好きかな。帰り道も好きー。ツツジが咲いてるの。…佐野くんのことも…好きだよ。雑巾、可愛いって言ってくれて…嬉しかった。」
好きなところを探せば、なんだって好きになれることに、気付かされる。
視点をポジティブにする方法を描いた物語だ。
例えば佐野と岩谷の仲をバカにする石丸。佐野は彼がとても苦手だった。
しかし岩谷は、石丸の箸の持ち方がとてもキレイだ、と指摘する。
実は見えないところで、彼なりの苦労や努力があるんじゃないか?
一緒にご飯を食べると、普段隠している他人の内奥が見えやすくなる。
大人が一緒に食事に行くことで関係をほぐすのと、仕組みは同じなんだと思う。
給食の調理員を描いた小説に「給食のおにいさん」シリーズがある。
不登校や肥満、ネグレクト、居眠り、わがままお嬢様、モンスターペアレント。
問題を抱えた人々に思いを伝えるべく、給食に工夫をしていく。作る側から考える食育の物語だ。
くりた陸のマンガ「給食の時間」も、給食が題材。
小学6年生の鳥谷未来。給食が大嫌いな、偏食大王。
彼女の両親は離婚。学校でいじめにあっていたため、おばあちゃんのいる田舎に転校する。
そこで出会ったのは、給食室で働く青年・藤川健。彼と接することで、傷つき斜に構えていた彼女は、大きく成長する。
子どもたちの生き方が如実に浮かぶ給食の場面。いろいろな作品でチェックしてみると面白い。