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「箸入れになれ!一休さん!」円周率の覚え方がヤバい電書発見

物理的な制約から解放された電子書籍。可能性が拡がった。
倉庫に作った本が余りまくって決算期を超えるからって断裁して捨てなきゃ、みたいなことがなくなったので、珍品でも出せるようになった。

というわけで、自分でもKDP(Kindleダイレクト・パブリッシング)で『思考ツールとしてのタロット』『あたらしいじゃんけんをつくろう』などの電子書籍を出している米光さんが、電書の凄さを感じさせる「これを読んでみてよ!」っていうモノを紹介するシリーズ「電書の可能性」。

第四弾は高田明弘『パイ文 円周率1,000桁の覚え方』だ。

円周率を10桁ごとに、語呂合わせで文章にした本である。
タイトルに「覚え方」とあるのに、「はじめに」でいきなり“この本を読んだからと言って、すぐに円周率を覚えられるものではない”と宣言される。
じゃあ、なんでこんな本を作ったのか?
“面白そうだった”から!
この潔さ。
そして、本当に、じわじわと面白い。

最初のページは、3.1415926535で、“妻子異国に。婿さんGo!!”だ。
“旅行に置いてけぼりにされた”
ひとことコメントがついている。

いろいろな語呂合わせが出て来る。
41-50桁。6939937510
“6組キュンキュン、ミナコ党”
ミナコちゃん。
名前つかうのは安易な気もするが、まあ、けっこう出てくる。
人名は502が小松で、何度も登場するレギュラーキャラクターだ。

51-60桁の5820974944は、“小屋に置くなよ、クッション”、上手い。

761-770桁は、4999999837は、“よぉ。くくくくく…悔みな!”
9連続! 順番に読んでると、そういったことがクライマックスに思えてくるので不思議だ。
著者も“よくここで円周率終わらなかったよな”とコメント。

他にも、こんな語呂合わせがでてくる。
“オムツはムーニーを履く気?”
“おく道 芭蕉ロマン紀行”(著者が思わず自分で“これ円周率と思えないくらい完ぺき”とコメント)
“箸入れになれ!一休さん!”
“みんな病む悩み、恋色”
“察しろ、おっさん縛るって…”
“つい肉まんに行く群れ”
“高級ワインサロン日記「チンチン」”

最後の991-100桁は、
2164201989で、“任意無用に、丸い地球は地球”
円周率の本のラストが「丸い地球は地球」、綺麗!

『パイ文 円周率1,000桁の覚え方』は、ほんとうにただただ円周率を10桁ずつ語呂合わせしただけの本だ。
だが,ナンセンスな文章の連続で、じわじわと面白くなってくる。
そのうちに、「俺のほうが上手いの作れそうだぞ」なんて思い始めて、作り直したりしたくなる。
もうこうなると、読者も「円周率語呂合わせ病」だ。