暴行、狂信、陵辱…中世ヨーロッパ戦争の残酷『乙女戦争』期間限定無料配信中
大西巷一「乙女戦争」の1・2巻が、11月27日までKindleなどの電子書籍で無料配信されている。
1420年のフス戦争。
ヨーロッパの戦場での、倫理無き暴行や、狂った信仰の様子が、一人の少女の目を通して描かれる。
主人公シャールカの住む村は、「異端狩り」の名目で十字軍に襲われた。大人は問答無用で殺され、少女たちはめちゃくちゃな強姦の末死んでいった。
一人だけ生き残ったシャールカは、フス派の指揮官ヤン・ジシュカに拾われる。
ジシュカが開発していた武器ピーシュチャラ(笛)は、彼女のような幼い子供でも使えるはず、というのを試すためだった。
弱い自分でも戦い、誰かを守ることができる。シャールカはジシュカと共に、戦乱に飲み込まれる。
鉄砲が世界で最初に使われたのが、フス戦争だ。ピーシュチャラとはピストルのこと。
いわゆるマスケット銃。といっても、棒に鉄の筒を付け、穴から火縄を差し込んで火薬に着火する、といった極めてシンプルなもの。
しかし中世ヨーロッパは騎士の時代。屈強な男たちが巨大な斧やら槍やらをぶん回す中、ピーシュチャラさえ持てば、弱いもの、特に蹂躙されて苦しんでいた女性でも立ち向かえる、という心理的な支えは強大だった。
ジシュカが率いるフス派は圧倒的に少人数。訓練された騎士の軍団相手に、ジャイアントキリングしていく。
史実に忠実に描かれた作品。
殺された人間は吊るされて腐っていく。ペストでボロボロ人が死ぬ。捕まった女性は確実に陵辱される。
通り雨みたいな感覚で、淡々と描かれる。それが日常茶飯事だ。
最新刊は7巻。こちらも電子書籍で配信開始している。
1・2巻だけでも、ジシュカの戦術の巧みさ、戦場の残虐な空気はこってり詰まっているので、ぜひ試し読みしてほしい。