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手塚治虫『SFミックス』がかっこよくて激しくて設定からして狂ってる

手塚治虫のSF短編集『SFミックス』がおもしろい。

昭和30年代に少年ブック、少年サンデー、別冊冒険王等に掲載された作品が収録されている。
ものすごく懐かしいレトロなジュブナイルSF作品勢揃いなのだ。
設定から、いい。
「偉大なるゼオ」は、雪山で発見された巨人ロボ(マグマ大使を連想!)と少年の友愛を描く。ああ、ご想像通り、悲劇的な結末へ突き進みます。
そう、手塚は、少年向けでも容赦しない。
「バチス号浮上せず」は、数年前に行方不明になった原子力潜水艦を襲う発光スライムとの死闘。そして、悲劇的な結末へ突き進みます。
「2から2を消せば2」、タイトルかっこいい(あの手塚治虫のタイポグラフィで描かれていてさらにかっこいい)。
原子力自動車が飛ぶ未来。マフィアのボスが、博士を強迫して自分そっくりのロボットを造らせる。だが、ライバルのボスも、また……。人間への絶望を背負ったダークなラスト1ページの結末。
「人間牧場」、退屈でマンネリな人生を送っていると思っていたぼくたち。だが、実は、宇宙人に家畜のように飼われていたのだった。脱出劇の果に我々が観るものは……。
「最後はきみだ!」 収録作でもっとも楽しい展開をしておきながら、ラストの苦さは、少年少女にはハードすぎるのではないかと心配になる傑作。突如、ミグルシャ国の軍人達に選挙された村。先生から託された手紙を、飛行場に届けるために3人は協力して、大活劇を繰り広げるが……。忍者道具を持ってきたチンチク、機転の効くヨッチン、ピュアな主人公。3人がキャラを活かして、ユニークな方法で敵軍から脱走する前半は、わくわくする少年冒険譚なのだが……。最後の一コマ、少年の悲痛な叫びが心に響く。
「だれかが狂ってる!」は、設定がハード。7人が乗り込んだロケットに基地司令部から緊急情報が入る。「出発まぎわにした注射に、ひとつだけ毒薬が混ざっており、いずれ狂ってしまう」という内容。なぜそんなことに? そして誰が発狂するのか? 身を守るためにひとりひとりにピストルが配られ……。ラストのコマは「人間なんてみんな狂ってるんだ!!」という絶叫です。
他、
現れた青い人影の通りにやるとすべてが上手くいくのだが……「バックネットの青い影」
アルファ・ケンタウリ星からのSOS「宇宙からのSOS」
ロボット西部劇「光線銃レイ・ガンジャック」。
全9編。
えーと、ハッピーエンドは1つもありません。
2016年11月の月間セール対象作品なので、今月なら99円。オススメです!