コミュ症は治るよ、大丈夫だよ『古見さんは、コミュ症です。』
学園コメディ「古見さんは、コミュ症です。」一巻。10月14日から、Kindleなどで配信されている。
ネットスラング「コミュ障」。人と接するのが極度に苦手な人のことだ。病気ではない。
この本のタイトルは、あえて「コミュ症」となっている。
「それは症状のようなものだから、治るよ」と励ましているかのようだ。
黒髪ロングのクールビューティー、古見硝子(こみ・しょうこ)。
寡黙で、スタイル抜群。視線は鋭く美しい。
モテる。男女共に、古見さん崇め奉りまくり。
実際は彼女、単に話すのが苦手なだけ。
誤解を解けないまま、友達ができないことを悩む。
話しかけてきたクラスメイトの只野仁人(ただの・ひとひと)に向けて、彼女は黒板に思いの丈を書く。
「本当は喋りたいんです」
「どうしよう。どうやって話しかけよう。話しかけた後どうしよう。拒否されたらどうしよう」
「私は一生このままだったらどうしよう」
友達100人作りたい、と願う彼女。ゆっくりと、着実に友達を増やしている(1巻時点で3人)。
このマンガが主軸にしているのは、古見さんに初めて声をかけた、只野くんの苦しみの方だ。
只野くんは入学時にちょっとやっちまったため、「波風たたない高校生活」を送れなくなってしまう。
古見さんは只野くんのフォローがあることで、なんとかプラス方向に向かっている。
ところが只野くんは、誰もフォローしてくれないため、友達が全然いない。それどころか学級委員などの面倒事を押し付けられてしまう。
ギャグとはいえ、ほとんどいじめだ。
作者は只野くんが、古見さんのために精一杯努力している様子を、非常に丁寧に描いている。
古見さんは只野くんに助けてもらった時、ノートを見せた。
そこには「ごめんなさい」を消しゴムで消したあとにこう書かれていた。
「ありがとうございます」。