囚われのお姫様、睡眠のために魔界を荒らす『魔王城でおやすみ』
眠たげな姫の表紙がかわいい。「魔王城でおやすみ」1巻が10月14日から電子書籍で配信中だ。
「寝る」マンガだ。
スヤリス姫は、魔王城に囚われた人質の姫。
彼女、城にいても寝る以外することがない。
ところが魔王城の寝具の質の悪いことと来たら!
姫は魔界にあるものを駆使しして、睡眠の質の向上をはかる。
魔物の毛を刈り針を抜けば、裁縫でふわふわの枕を作れる。
おばけの身体を切り取れば、再生可能な生きたシーツが完成。
宝具殿の宝箱から聖なる樹のたねを植えて、リラックス効果あふれる自然を再現。
「ダンジョン飯」で主人公ライオスは、あらゆる魔物を食べるため、どんなことでもチャレンジする研究家だった。
一方スヤリス姫は寝るためならなんだって試してみるマッドサイエンティスト
たとえばフワフワの極み、巨大毒キノコの胞子の中で何度も寝ようと試みる。一応復活できる世界だとはいえ、死んでまで睡眠を求める姿はだいぶ狂気じみている。
挙句の果てに、魔王城からしれっと抜け出し、そのまま人間界に帰るのかと思いきや、最高の寝るためのアイテムをゲットして城に戻ってきて寝る。
違うだろー!
でも彼女は睡眠に入るとものすごく幸せそう。安眠しているのなら、全てOKなの……か……?
人間の三大欲求、食欲・性欲・睡眠欲。
性欲は、エロマンガという形でかなり前から一大ジャンル。
食欲は、今の食マンガの量を見ればわかると思う。ただ食べるのではなく、「山頂で食べる」「異世界に居酒屋を作る」「雑草を食べる」など、マンガごとに切り口が多様になってきた。
そして、近年になって「睡眠の魅力」を描いたマンガがいくつかでてきた。
「若林くんが寝かせてくれない」
隣の部屋がうるさくていつも寝不足な先生。学校のわずかな時間寝ようとすると、彼のことを好きな女子高生若林くんがやってきて、彼にちょっかいを出す。寝られない!
先生が一瞬寝られた時の気持ちよさと、若林の淡い恋心が楽しい寝不足マンガ。
「おやすいみん部」
学園にある「すいみん部」は、快適な睡眠を求めて活動する部活。
部員はどうにも睡眠の具合が悪い。寝ると暴力を振るう、欲情が収まらなくなる、必ずおねしょをしてしまう。
彼女たちに安眠の地はあるのか。
「ZZZのZ〜ねむりちゃんとおやすみ〜」
学校の屋上で、いつも寝ているのに学年一位の深稲ねむり。いつもキリキリ勉強をしている沖田そよ子は、彼女の眠りへの姿勢とリラックスした人柄に惹かれ、安眠法を教えてもらうようになる。
毎回一つ「おやすみアイテム」解説が入る。
「魔王城でおやすみ」くらい、睡眠に対して尖った切りこみかたができるなら、睡眠マンガの可能性は無限なはず。
ビバーク専門マンガとかあったら、めっちゃ面白いと思いますがどうですかね。