HIROから「HiGH&LOW」への哲学。自伝的エッセイ『Bボーイサラリーマン』
人というものは集まった瞬間に、どんなに仲が良くたって、どこかに無理が生じる。
「みんなの気持ちは一つです!」
そういうのは簡単だ。
だけど、本当にそうなの?
なんだなんだ、深刻じゃないか。
仲良しのダンサーが集まって、わいわいと活動しているように見えるEXILE。
しかし、所属事務所の取締役社長でもあるメンバー・HIROは、初期からずっと「人が集まること」の難しさを考えてきた。
HIROの自伝的エッセイ『Bボーイサラリーマン』。
負けん気の強い少年時代、おごり高ぶっていたZOO時代から、メンバーを集めEXILEとして大きな舞台に立つまでの物語。
ディスコで育ったHIROは、年下でストリート育ちのマツ、マキダイ、ウサとのジェネレーションギャップにビビる。
メンバーになってくれるよう頼むため、緊張して何度もレモンサワーを飲むHIRO。年下のメンバーたちから見れば、HIROの方が怖いと思う。
苦労をして集めたメンバーでも、グループに縛り付けることはない。
エグザイルというグループがみんなの中心であることは間違いない。けれど、たとえばシュンにとってみれば、それは彼の一部でしかない。
メンバーのシュンこと清木場俊介は、ソロデビューをしてEXILEを去る。
一人の夢を尊重し、人生を束縛しないHIROの方針。無理をさせれば人間関係が終わることを、苦い経験から知っているのだ。
HIROがプロデュースするドラマ『HiGH&LOW』にも、こんな台詞がある。
「変わっていくことと仲間を失うことは、全然違う」
縛られず、自由に生きるためにチームを作った。チームに縛られるならば、意味がない。
HIROが挫折しながら確信した哲学が、いま生きている。