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今年こそランニングを始めたい人にオススメする絶対7冊

腹減った。腕が上がらない。乳首が痛い。

筆者が初めてハーフマラソンを完走したあと驚いたことベスト3である。2時間以上走るとカロリーを大量に消費するし、振りっぱなしの腕は肩から上に伸ばせなくなるし、Tシャツと乳首が擦れて痛くなる。始めてみないとわからないことってある。

季節はスポーツの秋。ランニングを始めたいけど右も左もわからない人に向けて、オススメのタイトルを紹介しよう。ランニング入門書だけでなく、ノンフィクションやエッセイも含めている。「走ること」への興味を持ち続ければ、三日坊主も防げるはずだ。

◆『「体幹」ランニング』金哲彦

ランニングコーチ・金哲彦は「脚で走るな」と言う。大事なのは「体幹」だ。体に一本まっすぐな柱が通っているのをイメージして、腕をしっかり振れば、腰が回って勝手に脚が出る。ちょっとしたポイントを知るだけで、こんなに楽に軽く走れるのかと驚くはずだ。豊富なイラストや写真もわかりやすく、初めてランニングに取り組むなら最適の書。『金哲彦のマラソン練習法がわかる本』など関連書籍も多いので、レベルに合わせて選ぶといい。


◆『仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング』久保田 競 (著), 田中 宏暁 (著)

速く走るだけがランニングじゃない。NHK『ためしてガッテン!』でも紹介された「スロージョギング」なら、誰でも気軽に試せるだろう。歩幅は足のサイズの半分だけ。地面をなでるようにちょこちょこと走る。ウォーキングと同じ速さでもエネルギー消費は2倍にもなる。速いランナーに追い抜かれても「こっちはスロージョギングなんで」と負い目に感じる必要がないのも嬉しい。

◆『BORN TO RON 走るために生まれた —ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”』クリストファー・ マクドゥーガル (著), 近藤 隆文 (翻訳)

メキシコの秘境に「タラウマラ族」という民族がいる。宴会のあと、ストレッチも準備体操もなく、簡素なサンダルでふらっとレースを始め、そのまま500kmの山道を2日間かけて走りきるという。なんだそりゃ! と取材を始めるノンフィクションライターの著者。出会いは出会いを生み、遂にはアメリカのウルトラランナー7人とタラウマラ族が直接対決することに。「走り」を巡る冒険に興奮するうち、自分も100キロくらい軽く走れる気になってくる。

◆『42.195kmの科学 マラソン「つま先着地」vs「かかと着地」』

心臓が大きい、乳酸がたまりにくい、つま先から着地する。2012年、NHKスペシャルが東アフリカの強豪3選手を1年間にわたり密着した結果、彼らの驚くべき肉体が次々と明らかになった。特につま先着地のフォームは、かかと着地に比べて体に与える衝撃が極端に少なく、全く疲れないという。なぜアフリカの選手だけがつま先着地で走れるのか?科学者たちがマラソン選手の肉体の謎に迫る一冊。ちなみにリオ五輪の男子マラソンで優勝したのもケニアの選手である。

◆『マラソンは毎日走っても完走できない 「ゆっくり」「速く」「長く」で目指す42・195キロ』小出 義雄

せっかく走るなら「フルマラソン完走」という高い目標を持つのもいい。ただ、5km、10km、ハーフ、フルでは、それぞれトレーニング方法が異なる。高橋尚子を金メダルに導いた小出監督のランニング指南書は、レベル別に負荷をかけた練習を解説。初心者レベルの「着地の衝撃を減らすためウォーキングで痩せる」ところから、金メダリストの練習法に至るまで、全てのランナーに向けて書かれた一冊。


◆『非常識マラソンメソッド』岩本能史

小出監督の正攻法に対し、「非常識」を謳う本書。サブタイトルは「ヘビースモーカーの元キャバ嬢がたった9ヶ月で3時間13分」。著者は200km超のウルトラマラソンも走りきるフットレーサー。「ランニング後のストレッチは悪」「腕は横に振る」「初心者は薄底シューズで」など、常識破りな事柄を豊富な実践経験と理論で説明する。ビルドアップ走や峠走など、伸び悩みを感じる人向けのトレーニングも詳しい。


◆『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹

自分文系なんで、体育会系のマッチョな感じ苦手なんだよね。そういう人に読ませたい。村上春樹が小説を書き始めたのは29歳。専業作家になった後、体力作りのために走り始めたのは33歳のとき。以来、毎日走り続け、今では世界各地でフルマラソンやトライアスロンに参加している。レース前の計画と緊張、レース中の呼吸や風景、走ることと書くことへの思索。筆致の体温は低いが、含まれる熱量は高い。ゴール後に「やれやれ」とつぶやくのはお約束。

速くても遅くても、フル装備でも裸足でも、文系でも体育会系でも、道の上ではみんな平等。踏み出せばその一歩が道となる。ちなみに乳首を守るには、シールを貼ったりワセリンを塗ったりするとよいです。