2016.10.07
月9「カインとアベル」の原作「旧約聖書」を簡単に把握する
“僕はアニキからぜんぶ奪ってしまうのかな”
2016年10月17日月曜夜9時START『カインとアベル』。
Hey! Say! JUMPの山田涼介が演じるのは弟アベル。桐谷健太が演じるのは兄カイン。
原案は「旧約聖書 創世記 カインとアベル」だ。
これを機会に、聖書を読んでみるのいいかも!
しかも、どうせなら聖書を心の支えにしている人がどのように読んでるかを体感したい。
って人にオススメするのが、この本。
『聖書の全体像がわかる神の大いなる物語』
紙の本は1728円、Kindle版1250円、読み放題サービスKindleUnlimitedで読むことも可能だ。
クリスチャンでも、その聖書理解は断片的な聖句知識の寄せ集めに終わっていて、
“それらの聖句がどのようにつながって、一つの大きな物語をなしているのかについては、
よく分からないという方が多いようです。本書はそのような方々にとって、聖書の全体像を把握する
格好の手引となることでしょう”。
信仰している人に向けた内容になっていている。
構成は、以下の通り。
序章 聖書は一冊の本である。
第1章 神の国のパターン
第2章 崩壊した神の国
第3章 約束された神の国
第4章 部分的な神の国
第5章 預言された神の国
第6章 現臨する神の国
第7章 告げ知らされた神の国
第8章 完成した神の国
各章の最後には、「バイブル・スタディ」という考える切っ掛けとなる質問集がついている。
「カインとアベル」については、このように登場する。
“アダムとエバの罪が3章で描かれた後、すぐ次の章で最初の殺人について書かれているのは驚きではありません。彼らの息子がその弟を殺したのです。ひとたび神との垂直方向の関係が壊されてしまうと、人間同士の水平方向の関係も壊されてしまうのは避けられないことです。”
このあたり、物語的な紹介はあっさりとすまされてしまう(おそらく、もうご存知ですよね」というニュアンスなのだろう)。
だが、本書を読むと、架神恭介『「バカダークファンタジー」としての聖書入門』のツッコミの数々を考えるヒントになる。
どうして神はそんなに理不尽なのか、意味不明なことをするのか。説明が足りなさすぎるんじゃないか。
たとえば、こんな一説がある。
“私たちのすべての疑問に答えてくれようとはしません。彼はただ、私たちが知る必要のあることだけを語っているのです。私たちが悪がどこから来たのかを知ることは重要ではありません。けれども、それが存在していることを知ることは大切です。”
説明が足りないのではない。知る必要がないのだ。
エバが果実を食べることの何が悪いのか?
“それは、神が彼らに食べるなと命じられたから悪いことなのです”。
でも、善悪の区別を知ることは良いことじゃないの? どうしてダメなのか?
“「善悪の知識」とは単に何が良いことで何が悪いことかを知ることを指しているのではなく、何が善で何が悪であるかを決定することを意味しているのです”。
そして、それは、神が作るべき世界のルールを、自分たちで作るということだから、“神の権威を侵害し、自分たちの独立を勝ち取ろうとした”のであり、これが“罪の性質”となるのだ。
本書によると、創世記の初めの数章を貫くのは“罪→さばき→恵”である。
だから、ここで大きな理不尽を受け入れることができればできるほど、神の権威は大きくなる。
何故だかは知る必要はないが、言いつけを破ると罪となり、さばきが下される。だが、しっかりと、恵が与えられる。
これが、聖書の前半で繰り返されるエピソードだ。
この前提があれば、すべてのツッコミを弾き返すことができる。
正直なところ、八百万の神々のいる地に生まれ育った身としては、なかなか受け入れがたい。だが、キリスト教を信仰する人の強さがどこから生じているのかが、すこしだけ理解できるようになる聖書入門書だ。