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なおも激震続くKindle Unlimited、小学館も抗議、佐藤秀峰提訴準備へ

鳴り物入りで始まった書籍のサブスクリプションサービス、Amazon「Kindle Unlimited」の激震が続いている。講談社、小学館、光文社などの大手出版社が提供していた書籍や雑誌などが、事前に何の説明もないまま「Amazon.co.jp社側の一方的な事情」(講談社による抗議文より)配信が停止されてしまってから数日経ったが、Amazon側からの説明は行われていない。勝手に配信を止められた出版社と、読みたいものが読めなくなってしまったユーザーは、Amazon側への不満を募らせている。

Amazon側と出版社側との対立は表面化しており、10月4日には講談社に続いて小学館が声明を発表。「読者に対して十全な対応ができず、著作者に不安を与えている」(小学館広報部)として、Amazon側に善処を強く申し入れているという。

『海猿』『ブラックジャックによろしく』などの作者の佐藤秀峰氏は、出版社を通さずにKindle Unlimitedに作品を配信していたが、講談社などと同じく一方的に配信中止にされたことをツイッターなどで明かしている。

Kindle unlimitedに関して、アマゾンジャパン合同会社から契約条件の不利益変更を求められ、これを拒んだ所、それまでエントリーされていた作品の大半が削除され、その後の追加エントリーも受け付けられない件について、同社に対し賠償などを求める内容証明を送付しました。


上記は9月30日のもの。この時点でAmazon側から「契約条件の不利益変更」を求められたと明かしている。その後、10月5日のツイッターでは、Amazon側からの回答があったたことを報告している。Amazon側は、「コンテンツの削除に関して、出版社、取次に事前承諾を得る必要はなく、裁量権の逸脱、濫用はないものとして、賠償には応じないとのことです」と佐藤氏に伝えたとのことで、それを受けた佐藤氏は「今後、訴訟を提起します」と宣言している。


一連の騒動を受けて、「日経産業新聞」は10月5日付の記事で次のように解説している。

日本の電子書籍市場は数十分で読み終えることができるコミック作品が中心だ。アマゾンは利用者を囲い込むため、サービスの開始当初は無料にしていた。その期間に想定を上回るペースで利用があったとみられる。開始直後の段階で出版社に支払う料金が予算を超えてしまったとみられ、高額な商品や人気作品を対象から除外したようだ。

朝日新聞は8月31日付で、すでに人気作品がKindle Unlimitedから外れていることを指摘し、次のように解説している。

サービス開始に合わせて多くの書籍をそろえようとしたアマゾンが、出版社に配分する利用料を年内に限って上乗せして支払う契約を締結。しかし想定以上の利用が続いて負担に耐えきれなくなり、利用が多い人気本をラインアップから外し始めたとみられる。

また、Sankei Bizは10月6日付の記事で、「関係者によると、アマゾンは上乗せの契約を改めたいと各出版社に打診。妥結できなかった社のコンテンツを9月末までに削除したとみられる」と報じている。

講談社、小学館などが佐藤氏と同じようにAmazon側から「契約条件の不利益変更」があったかどうかは明らかになっていない。ただ、Kindle Unlimitedの当初の目論見が破綻しており、出版社との対立、ユーザーの不信を招いているのは間違いないようだ。今後の対応が注目される。