マリー・アントワネットの風評被害を無くしたい、あんなこと言ってないから
10月25日から東京森美術館で「マリー・アントワネット展」が開催される。
これにあわせて、ノンフィクション「マリー・アントワネットの嘘」と連動企画で描かれたのが、惣領冬実「マリー・アントワネット」。
フランスの出版社グレナ社と講談社の共同で作られた。9月23日からKindleなどで配信されている。
監修はヴェルサイユ宮殿美術館国有地公団。
なので作中で描かれているヴェルサイユ宮殿の背景が、細かいのなんの。調度品などはほぼ完全再現。
マリー・アントワネットというと、どうしても「浪費家な悪女」というイメージが払拭しきれない。
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」という言葉がマリーのものだという噂は常に残っているが、これは誤り。
詳しくはこちら。
マリー・アントワネットは「パンが無ければケーキを食べればいいじゃない」なんて言わない エキレビ!
贅沢をしたのは事実でも、民衆から目の敵のように必要以上に責め上げられてしまい、今で言うSNSの炎上状態だったらしい。
この作品でも、風刺というには行き過ぎなデマが流布されている様子が描かれている。
政略結婚でオーストリアからフランスに嫁いだ彼女、14歳。「十歳に見えますわ」と噂されるほど幼い。
フランスでは冷遇されまくり。不幸な結婚を象徴する絵がわざわざ飾られ、「オーストリア女」「ガリガリのおちびさん」と陰口を叩かれる。
マリーは傷つきながらも、逆境を賢く立ち回り、自分の意思をはっきり言うようになる。ちょっとおてんばに宮殿を歩き回る彼女は、快活でポジティブ。
これは孤独と不安に立ち向かう、ごく一般的な少女の青春物語。
本文後半には、歴史解説が掲載されているので、比較してみると面白いです。