幼女が生きてるだけで褒めてくれるような生活『今日から俺はロリのヒモ!』
一月前に出た書籍版が、各地で品切れ+ネット書店からも枯渇していた『今日から俺はロリのヒモ!』。電子書籍配信が9月25日から始まった。
漫画家志望の高校生・天堂ハル。ある日、ピクシブで彼の絵を見ていた、超大金持ちの小学五年生・二条藤花に、「大ファンです!」と言われる。
彼女はハルに言った。「でも先生、なんで高校なんかにわざわざ通ってるんですか?」
彼女は「先生ほどの漫画家さんがお金なんかのために時間を無駄にするのは、文化的な損失」だと本気で考えていた。
かくして藤花はハルのパトロンになった。漫画を描いてもらうため、彼と一緒に暮らすことを決め、お金も全支給すると申し出た。
ヒモになるためにあっさり高校を辞めてしまうハル。
ゲーム、フィギュア、同人誌、女性向けコスプレ衣装。「資料」という名目でがんがん買い漁る。小学生のお金で。
藤花はというと、「さすがは俺のファンだ。見る目があるよ」と言われるだけで、ニコニコする。
彼は藤花のお金で、ソシャゲのSSRを引くためにえんえんとガチャを回す。藤花と友人たちは「まだまだこれからですよね!」「あきらめなければいつかは出るわ!」と、ガチャを回す彼を応援する。
で、だらけて漫画は描かない。
「バブみ」というネットスラングがある。
甘えたくなるような母性を、年下の女の子の中に見つけること。
「ガンダム」だと、シャアにとってのララァみたいなものだ。
生活の不安を全て取り除き、バブみ「だけ」に囲まれると人間どうなるか、どこまで堕落できるのかを、一見幸福そうな表現で描いている。
登場する少女たちはみんなハルの横暴をすんなり受け入れる。藤花に至っては、欲望を言うだけで褒めてくれる。ハルは今後もう生きていくのは安泰だと考えている。
幸せのみを重ねた世界の不気味さが、作品全体からじわじわ染み出している。