新海誠最新作『君の名は。』小説版を読んでみた
新海誠監督・最新作『君の名は。』が、8月26日より劇場公開された。
東京の都心に暮らす男子高校生・瀧(声・神木隆之介)と、東京に憧れる田舎の女子高生・三葉(声・上白石萌音)は、全くの他人同士だった。
夢を介して、互いが「入れ替わっている!?」と気付くまでは。
映画公開より先に発行された小説版『君の名は。』(著・新海誠/角川文庫)。
小説を先に読むか、映像の後にするか。原作がある作品においては迷うところ。
小説と映画で物語上の大きな違いはないけれど、語り口にはすこし差がある。(中略)どちらも単体で十分に楽しんでいただけると思うのだけど、このようにメディアの特性として必然的に相互補完的になっている。
本作品については、あとがきでこう語られている。先に読んでみた。
私は鏡を見つめながら髪を結う。春物のスーツに袖を通す。
俺はようやく結び慣れてきたネクタイを締め、スーツを着る。
男女の一人称が交互に出てくるシーン。じっと文章を追わないと、どちらの視点か見失ってしまうくらいに切り替わる。アニメで見たら、どんな風に見えるのだろう?と想像する。
ひときわ明るい金星の上に、青く光る彗星の尾がある。
何かが記憶の底から出たがっている。
そうだ、以前も、俺は
物語の軸となるティアマト彗星。天体ショーは絵で見たい。
初♡原宿表参道パニーニざんまい!/お台場水族館に男子二人と♡/展望台巡りとフリーマーケット♡/お父さまの仕事場訪問♡霞ヶ関!
瀧の中にいる、三葉からのメモだ。
てめえ三葉、なにしてくれてんだ! 俺の人間関係勝手に変えるなよ!
FacebookもLINEも登場する世界で、2人のコミュニケーション方法はメモのやりとり。ノートに書き残したり、スマホのメモを使ったりと交換日記みたい。どんな表情で伝えていたのだろう。
不定期で、週に2、3度ほど入れ替わる。
リアルに会っていないのに、ずっと近い距離にいた。体のかたちや憧れの人のことまで知り尽くす、もう1人の私のような存在になっていく。
眠りに落ちる直前、今日も強くつよく願った。
それなのにまた、三葉にはなれなかった。
この人のことをもっと知りたいと思うのが恋なら、知るどころか相手そのものになっていた瀧と三葉。
失恋という言葉には置き換えられない。瀧は、まだ出会ったことのない三葉を探しにでかける――。
大好きな人たちと作った映画『君の名は。』。
音楽・RADWIMPS、キャラクターデザイン・田中将賀、作画監督・安藤雅司。「多くの方々の才能による華やかな結晶」と表現する。
新海誠のデビュー作は、個人で制作した『ほしのこえ』。
「この小説を書こうとは、本当は思っていなかった。」と考えていた新海誠。
あとがきから、映画のプロデューサー・川村元気による解説まで全て『君の名は。』の制作秘話がつまっている。
映画を見てからまた、読み直したい。