施川ユウキ『鬱ごはん』ぼっち飯が怖くて戦慄(←誰もどーも思ってへんわ)
鬱野タケシは、現在、就職浪人中。漫画喫茶でアルバイトはしているものの、就職活動をしているような様子はほとんどない。
一人映画
一人ファミレス
一人焼肉…
一人○○という行動が特別視されなくなって久しい
一人でいることを過剰に意識して言い訳のためにネタっぽく振る舞う
そういう面倒な自意識の有り様に 誰もがきっと飽きている
(第53話一人もんじゃ P65より)
施川ユウキの『鬱ごはん』2巻が今月19日に発売された。主人公・鬱野タケシは、連載開始当時は22歳、2巻では26歳になっている。
友人が少なく、あらゆることを考えすぎる鬱野は、一人飯でもネガティブ思考を持ち込んでしまう。
え!?
ナニナニ知り合い?
バイト先のセンパイで…
(第53話一人もんじゃ P66より)
もんじゃ焼き屋で一人、心穏やかにもんじゃ焼きを焼いていた鬱野だったが、バイト先の後輩が仲間を引き連れて近くの席までやってくる。それから気持ちは一転、汗をかいて動揺してしまう。
「ひとりスか?」って聞かれなかった!
明らかに不自然なのに!
……気を使われた?それとも一人もんじゃくらい普通のこと…
(第53話一人もんじゃ P66より)
友達が作りたくても作れない人がいる。気が付けば友達がいなくなっていたという人もいる。
自分は浮いていないだろうか…
周囲から変人扱いされていないだろうか…
そこのあいつ、ぼっち飯(ひとりぼっちのメシの略称)なんか食ってるぜww ギャハハ などと言われないだろうか…
焼肉屋、大衆居酒屋、大学の学食など。複数人で卓を囲むのが多い店には、僕もあまり入りたくない。周りの目が怖い。「オレ平気だよ?」っていう顔をしていても、孤独なのがぼっち飯。
しかし、鬱野は店に入る。
入ってから後悔する。
蕎麦屋で座席のポジショニングに悩んだり、近くの席で行われたバースデーサプライズに動揺したりする。
そんなとき、黒猫の妖精が現れてこう言う。「どーも思ってへんわ」。
鬱野の姿を見て思う。
「やっぱり外食は危険だな…」。
シュークリームは丁寧に食す上品なスイーツではない…!
シュークリームは
シュークリームは…
中身をぶちまけながら獣のようにむさぼり食う 野生の果実!!!
(第66話シュークリームp122より)
どうすればシュークリームを美しく食べられるのか。たどり着いた答えは、それを覆すものだった。この回を機に、黒猫の妖精の姿が見えなくなる。
2巻終了時点で28歳になった鬱野は「考えすぎ」と言われるタイプの人間だ。何をするのにも、イヤでも考えすぎてしまう。しかし、6年間(あるいはそれ以上)続けてきたマイナス思考に、だんだんと疲れを感じてきてもいる。